【怖い話|実話】短編「9月の音」心霊怪談(和歌山県)

投稿者:こぶ さん(30代/女性/主婦)
体験場所:和歌山県岩出市の自宅

もう随分前のことになります。
30年近く前のお話ですが、よろしければお付き合い下さい。

これは、当時私が住んでいた和歌山県岩出市の自宅で体験した出来事です。(現在は結婚して家を出たのでそこには住んでいません)

両親と3歳上の兄、そして私の4人家族。家庭内も良くあるとっても仲良し…とまではいきませんが、喧嘩もありましたが程々に幸せな家庭でした。

私が小学校3年生の頃、父が新築で購入した岩出市のその一軒家に引っ越しました。

それまでは決して広いとは言えないマンション暮らしだったので、新しい家はごくごく一般的な一軒家とは言え、4LDKの2階建てで、何より兄も私も自分の部屋をそれぞれ貰える事をとても嬉しく思っていました。

新築一戸建て
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引っ越しは学校の新学期に合わせてくれていたので、その家に住み始めたのは3月からでした。
1ヶ月もすると引越しの荷物も随分と片付き、希望で満ち溢れた新生活が始まりました。

しかし、これから毎年9月が何かと苦労の多い月になるなんて事は、この時誰も思いもしていませんでした。

新学期が始まり学校にも慣れ、楽しい毎日を送る中、春が過ぎて夏がやってくる頃から、私は家の中で『ある音』を耳にするようになりました。

その音というのは、みなさんジッポライターを開け閉めする音はお聞きになった事はありますか?
『カチンッカチンッ』と金属の歯切れのいい音です。

ジッポライター1
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その音を、夜のトイレでよく耳にするようになったんです。

その頃、父は既に禁煙していましたが、若い頃はタバコを吸っていたので家にライターがある事は私が小さい頃から当然の事でした。
なのでその音のことは、(父がライターをいじって遊んでいるんだな~)と思っていました。

『カチンッカチンッ』

はじめの内こそ、その音を耳にすると(あー鳴ってるな~)と気になりましたが、月の半分、2日に一回は聞いていたので、そのうち気になる事も無くなりました。

そして時が流れ9月のこと…

夜、家の電話が鳴り、母が緊迫した様子で受け答えしているので、私は子供ながらに何か大変な事が起きたと感じていました。

それは病院からの電話でした。

父がバイクに轢かれて左足を複雑骨折し、手術になるとの電話でした。

バイク事故
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母と兄と私の3人は急いで病院に向かいました。

幸い命には別状無く、現在も朝の寝起きでは足に痛みが残っていますが、リハビリの甲斐もあり大きな不自由も無く生活できています。

そんな家庭内での大きな事件がひと段落した頃、いつの間にかあの音も聞こえなくなっていました。

そして季節は流れ、春が過ぎ、再び暑くなり始めた頃、

『カチンッカチンッ』

またジッポライターの音が聞こえ始めたんです。

ジッポライター2
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(そういえば久しぶりに聞いたな~)

その年それを初めて聞いた場所は、トイレではなく階段でした。「トイレ以外で聞いたのは初めてかもな~」と思ったことを覚えています。

それからまた、トイレ、階段、トイレ、と、場所にばらつきはありながらも、再びこの音をよく耳にする様になりました。

今思えば、何故この音のことを家族の誰とも共有しなかったのか不思議なのですが、当時はそんなことを微塵も思わなかったんです。

そして9月に入った頃、母方のおばちゃんが倒れて入院してしまいました。

脳梗塞で緊急手術となったものの、予後が悪く、2週間でこの世を去ってしまいました。

お婆さんの葬式
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亡くなる予兆もなく、それまでいつも元気なおばちゃんだったので、その死を受け入れるまで時間がかかったものでした。

今思えばですが、やっぱりこの後、『カチンッカチンッ』という音をまた聞かなくなっていました。

それから半年くらいたった頃、巡り巡った噂でおばあちゃんが亡くなった事を聞きつけて、おばあちゃんの知り合いという方が家を訪ねて来てくれました。

お茶をお出しし、色々思い出話に花を咲かせた後、この方は母だけを誘い外に連れ出して行きました。
後に母から聞くと、その人にこんなことを告げられたそうです。

「家の中に、片手にジッポライターを持った男性の姿がある。」

ジッポライターを持った男がいる
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私は一気に身の毛がよだつ感覚を覚えました。

(あの音のことだ・・・)

母もそれを聞いた時、全身の血の気が失せる思いだったそうです。
母もその音を聞いていたのです。

その事がきっかけとなり、家族内で初めてその音について話し合いました。
すると家族全員、場所は違えど、みんな家の中でその音を耳にしたことがあったのです。

その後、すぐに家をお祓いして頂いたおかげか、その後、音を聞くことはなくなりました。

家をお祓い
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ですが、原因は何も分からないままでした。

ジッポ―ライターの男は私達家族に災いをもたらす為に、年に一度あの家を訪れていたのでしょうか?

だとしたら私たち家族と一体なんの因果があるのか…
そしてなぜ9月なのか…

その答えは今も全く分からないままです。

だから、今でも9月が近づくと不安が込み上げてきます。

(またあの音を耳にするかもしれない…)

現在、私は結婚して家を出ましたが、またあの家で『カチンッカチンッ』と音が聞こえ、家族の身に何か起こったらと思うと…

お祓いしてもらった後も、正直ずっと9月が怖いままなんです。

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