【心霊スポット】青森県|城ヶ倉大橋の怖い話「橋の下から」実話怪談・短編

投稿者:藤山 太郎 さん(30代/女性/主婦)
心霊スポット:青森県青森市『城ヶ倉大橋』

数年前まで私は青森県青森市で大学生活を送っていました。

元々青森県には心霊スポットが多数存在している事は噂で知ってはいましたが、足を踏み入れた事は一度もありませんでした。

あれは、ようやく残暑も過ぎ去り紅葉の季節が近づいてきた頃でした。
大学の友人と外食をしていた時、青森市内にある城ヶ倉大橋から見える紅葉が今の時期絶景だと話題になりました。

城ヶ倉大橋の紅葉
image photo

観光地としても有名な橋なので、今の季節は観光客の車で混雑しているのでは?との懸念もありましたが、とりあえず友人数名で行ってみる事にしたんです。

城ヶ倉大橋に向かう道中、スマートフォンで橋の情報を調べていると、『心霊スポット』という文字がやたらと目に付きます。

122mもの高さを誇る城ヶ倉大橋では、自ら身を投げる人も少なくないそうで、橋から下を見下ろすと自殺者の霊に引きずり込まれるという噂もあり、夜の城ヶ倉大橋には地元の人も近付かないとのこと。

そんな情報がネット上で続々見つかるのですが、そんなありがちな心霊ネタは気にも留めず、城ヶ倉大橋の駐車場案内のページを開いて目で追っていると、不安げな顔をしたAちゃんが画面を覗き込んできました。
どうやら、霊感が少しあるというAちゃんは、心霊スポットという羅列に少々緊張しているようでした。

しかし、Aちゃんが発する雰囲気とは裏腹に、車内はそんな不穏な空気を吹き飛ばすくらい盛り上がり、あっという間に車は目的地の城ヶ倉大橋に到着したんです。

時間的に観光客も少ないようで、これならゆっくりと紅葉を堪能出来ると意気揚々に車を降りようとすると、やはり浮かない顔をしたAちゃんが憂鬱そうに上着を羽織っています。
先ほどと顔色に変化はないものの、どこか不安気な様子のAちゃんでしたが、車内で一人残るよりは、友人達と秋の絶景を堪能した方が良いと考えているようでした。

車を止めた駐車場から城ヶ倉大橋までは歩いて直ぐです。
すれ違う観光客は皆口々に満足そうに感想を語り合っており、その期待値の高さが伺えます。

橋に掛かる前からその雄大な景色に圧倒され、そのまま橋の真ん中まで行くと、そこに広がっていたのは360度見渡す限りに赤く色付いた紅葉で、それは感動すら覚える光景でした。

壮大な景観にみんな興奮して、それぞれスマートフォンで写真や動画を撮影する中、例のAちゃんだけが撮影もせずふらふらと橋の手すりに近付いて行きました。

なんとなく変だなと思い声を掛けるのですが、明らかに普段と様子が違い虚ろな表情でゆっくりと橋の手すりへと向かって行くAちゃん。

誰の問いかけに返事をすることもなく手すりの前まで行くと、Aちゃんは右腕をおもむろに空へ伸ばしたかと思うと、首だけ橋の下を深く覗き込む様な体勢になったのです。

橋の下を覗くAちゃん
image photo

あまりに勢い良く橋の下を覗き込む動作に誰もが焦り、咄嗟にみんなでAちゃんの手や体を掴み思いっきり引っ張りました。

ですが、みんなで協力しても中々Aちゃんの体を動かすことが出来ません。
どう考えてもAちゃんの体重以上の負荷が掛かっているとしか思えない抵抗を感じ、彼女を座らせるまでかなりの時間を要しました。

その間もAちゃんの目は半開きで、しかも何やらぶつぶつ呟いている彼女の姿を目の当たりにし、私たちは恐怖のあまり急いで帰宅することにしました。

その日は念のため友人数名でAちゃんの家に一泊し、夜を明かしました。

次の日、目を覚ましたAちゃんの様子は大分落ち着いたようでした。
Aちゃんに昨日のことを聞いてみると、車で城ヶ倉大橋に向かい駐車場に到着した事までは覚えているけど、それ以降の記憶が全くないとの事でした。

その言葉にみんな唖然としていると、突然Aちゃんは何かを思い出したかのように真っ青な顔をすると、自分の左腕を仕切りにさすり出したのです。
恐る恐る、その左腕の袖をめくると、そこには誰かに強い力で掴まれたかのような指の跡がくっきりと残っていました。

左腕に残る指痕
image photo

震えが止まらないAちゃんは、徐々に記憶が戻ってきたのか、怯えた声で断片的に思い出した事を教えてくれました。

真っ暗な闇の中、欄干の下にいた血だらけの初老の男性が、私の腕をしきりに引っ張っていた、と。

腕を引く男
image photo

コメント

タイトルとURLをコピーしました