【怖い話|実話】短編「深夜の倉庫作業」心霊怪談(茨城県)

深夜の倉庫
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投稿者:えんがわ さん(20代/男性/学生)
体験場所:茨城県M市 アルバイト先の倉庫

これは大学2年の夏休み、私がとある会社の倉庫で商品の梱包作業のアルバイトをしていた時に体験したお話です。

とにかくお金が欲しかったので、少しくらい自宅から遠くても、賃金の高いその倉庫でのアルバイトを私は選びました。

夏休みの間は毎朝9時に家を出て、車で30分かけ通勤し、これから発送されていく商品の梱包作業を黙々とこなし、夜21時に退勤するといった、結構過酷な日々を送っていました。

ですが、その会社はいい意味でラフな職場だったため、長時間働いていても苦ではなく、私は非常に気に入っていました。

ある日の退勤間際のことでした。
会社の社長からこう言われたんです。

「君、私はこれから一度家に帰って書類をとってきたいんだけれども、君が帰っちゃったら鍵とかセキュリティーとか面倒くさいんだよね笑。だから僕が帰ってくるまでの間、少しそのまま仕事していてくれませんか?」

その分の給料も支払われるとのことでしたし、社長の家は歩いて10分ほどの場所、すぐに帰ってくることも分かっていたので、私は快く引き受けたんです。

すると、社長が会社を出て数分後のことでした。
会社には当然私1人しかいないはずなのですが、倉庫の奥の方から『ガタガタッ』と物音が聞こえてきたんです。

退勤間際だったため、私がいた作業スペース以外の在庫保管スペースなどはすでに消灯していましたので、一応手元の懐中電灯で物音のする方を照らして確認してみたのですが、何も見えません。

懐中電灯で照らす
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(あのあたりは確か無造作に箱が積み上がっていたはずだから、きっとそれが崩れた音だろう)と私は勝手に納得し、そのまま梱包作業に戻りました。

その数分後のこと。
今度は倉庫の電動シャッターがいきなり『ガガガガガガ』と大きな音をたてながら開き始めたのです。

ちょうど社長が戻るくらいの時間だったので、事務所の入り口からではなく倉庫のシャッターから入ってきたのだろうと思いました。

しかし、よくよく考えてみると、シャッターのスイッチは建物の内側1ヶ所にしかないため、外からは開けることは出来ないはずです。それに仮に事務所の入り口から社長が戻っていたとしても、シャッターのスイッチまで行くには今私のいる梱包作業スペースを通らなければ辿り着けないはずです。

真っ暗な倉庫、開くはずのないシャッター。
私はなんだか急に寒気がして怖くなりました。

恐る恐るシャッターの方向を懐中電灯で照らしてみましたが、そこには半開きのシャッターがあるだけで、特に人影は見えません。もちろんシャッターのスイッチ周りにも誰もいません。

半開きのシャッター
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どうも開いたままのシャッターは気味が悪いので、とりあえず私は恐る恐るにじり寄るようにスイッチを押してシャッターを閉めました。
ただ、とても作業に戻れるような気分ではなく、私は走って事務所に向かい、気を紛らすために大音量でラジオをかけたまま社長の帰りを待ちました。

その後、数分で社長が帰ってくるなり、直ぐに私は退勤しました。

帰り道の車の中でも、さっきの出来事が頭から離れません。
そういえば、以前同僚からこんな話を聞いていたことを思い出しました。

「この倉庫、次の日来たらモノの配置変わってたり、施錠したはずのドアの鍵が開いていたりすることあるんだよねー」

その時は、

「そんなわけあるかよ笑、どうせ誰か締め忘れたとかそんなんだろ」

と、聞き流していましたが、まさか本当に私自身がそんな不可解な現象を目の当たりにするとは思ってもいませんでした。

それ以来、夜遅い倉庫にいることが怖くなり、シフトを夕方までに変更してもらい、その後も半年間アルバイトを続けました。

その会社を辞める際に社長から聞いた話なのですが、その倉庫があった場所というのは、以前は精肉店があった場所なのだそうです。
店は10年ほど前に廃業したそうなのですが、そこでは日夜たくさんの牛や豚が捌かれていたそうです。

そのせいなのか、倉庫では数々の怪奇現象が起こっていたらしく、それは社長も知っていたそうですよ。
あの日、私を残して家に戻ったのも、会社で一人になるのが怖かったからと言うことでした。

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