【怖い話|実話】短編「厭な職場」人間が一番怖いと思った話(埼玉県)

投稿者:アママン さん(31歳/男性/大学職員)
体験場所:職場(埼玉県内の某大学)

私は埼玉県内の大学のとある研究室に所属して、日々研究や講義資料の作成に勤しんでおります。

大学研究室
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現在の職場には大学院生時代も含め、かれこれ7年の所属になろうというところです。

職場の研究室には教授を含めて10人規模の人員が配置され、私はその中でもまだ若手の方でした。

私の後輩には、女性研究員1名(以下、A)と大学院生1名の2人がおり、他は皆上司といった感じです。

研究室は主に2箇所に別れていて、教授・准教授と大学院生がメインで使用する第一研究室と、その他研究員が所属する第二研究室があり、それぞれの研究室で各々が日々の仕事をこなしております。

各研究員の関係はというと、それぞれが特にすごく仲が良いという訳ではないですが、これまで表面的には大きないざこざもなくやって参りました。

『表面的には』と記載したのは、研究員の中には明らかにまともに仕事ができない、というか、仕事をしようとしない者がいるのに、それを上司が咎めることをしないので、私としても勝手に注意することも出来ず、『表面的には』何もないと言わざるを得ないのです。

大学という組織は、研究・教育といった通常の業務内容以外に、研究会の手伝いや、日々の雑用といった、言わばお金に直結しない仕事も多いのですが、基本的には皆『それも仕事のうち』と割り切ってこなしています。

しかし、私の後輩の女性研究員Aは、そういうお金にならない仕事は一切しないのです。

仕事をしない女性研究員
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上司は女性に甘いタイプで、『あまり女性にキツく言っても問題になるし、申し訳ないけど、キミ、やっといてよ』と私に指示をしてくる有様です。

私も不満はありましたが、それについては「Aは空気なんだ」と思うことで、我慢してその仕事も請け負っていました。

ただ鼻持ちならないのは、研究室宛に割のいい給料が出る単発バイトがたまに依頼されるのですが、そういう仕事だけはAは率先して受けるのです。

割のいいバイト
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これについても、時折上司にこれは如何なものかと掛け合っていたのですが、あくまでもレディーファーストとのことでした。

そのような状況下でしたので、私はなるべく「Aは空気なんだ…」と、自分に言い聞かせ我慢をしていました。

そんな事がしばらく続き、私はAのいない時間の研究室や休憩室で、親しい同僚にAの悪口を漏らしたことがあったのです。

具体的には、Aは仕事時間中もいつもパソコンで動画サイトをずっと見ている始末なのですが、動画ページが開かれたまま放置されているAのパソコンをチラリと覗いては『こいつ、また動画ばっか観てますよ~』というふうに同僚と話をしていたのです。

それで数日経ったある日、急に上司から別室に呼び出され、『君、Aのパソコンの検索履歴を調べて悪口を言っているようだが…』と、あたかも私が悪趣味にもAのパソコンに直接触れて調べているかのような疑いを掛けられてしまいました。

もちろん私はAのパソコンを触って何か調べるなんてことはしていませんし、そもそもAには極力関わらないようにしていました。むしろ仕事をしないAに代わり、私が頑張っているつもりだった分だけに、とても悔しく思いました。

ですが、上司を巻き込んでの問題となったこの件を丸く収めるために、私がAに謝罪をしなければなりませんでした。

後日、なぜ私がAの愚痴を言っていたことを上司が知ったのか、その理由が分かりました。

Aは、研究室にボイスレコーダーを仕掛けていたのです。

私は検索履歴を盗み見たと疑われましたが、それ以上にAのやっていたことは許しがたい紛れもない盗聴行為です。糾弾されて当然のことと私は思っていました。

ですが、これについて彼女へのお咎めは無しでした。
盗聴行為自体は悪趣味ではあるが、あくまでも盗聴で得た情報で相手を脅したり、盗聴するために不法侵入や器物破損をしなければ犯罪行為には当たらないそうです。

私は悔しく思いましたが、もうそのことはなるべく考えないように日々を過ごすことにしたのです。

しかし、次は二人の先輩上司が被害に遭うことになってしまったのです。
その二人が休憩室で話していた愚痴が、何故か教授の耳に届いていたのです。

私の時の件もありましたので、我々3人はとある有名セキュリティ企業の盗聴器探索サービスに依頼をすることにしたのです。

すると、我々の机の周辺からは電源タップ型の盗聴器2個が見つかり、一人の先輩の机の裏には超小型のICレコーダーがセロハンテープでくっつけられていたのです。
更に休憩室からも電源タップ型の盗聴器1個が発見されました。

盗聴器
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専門家の意見では、少なくとも2年以上は仕掛けられていたのではないかということでした。
そんなに長い期間、我々の日々の会話が筒抜けになっていたのかと考えると、私たち3人は気持ち悪さを通り越して、恐怖すら感じました。

Aが単独でやったことなのか・・・それとも更に上の者が指示をしていたのかは今なお不明。
ですが、頑なに上司がAの身を守っていたことを考えると、グルであったと考えた方が辻褄が合います。

ですが、それを突き止めたところで揉み消されるだけだろうと思い、我々3人はこの職場を去ることが賢明だと考えております。

みなさんも自分の職場を過信せず、周囲に不審なコンセントが無いか一度確認されることをオススメします。

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