【怖い話|実話】短編「壁の染み」心霊怪談(埼玉県)

投稿者:たんぽぽ さん(40代/女性/会社員)
体験場所:埼玉県吉川市の知人宅

これは私の友人の知り合いである、埼玉県吉川市に住むAさんのお話です。

現在Aさんは50代後半の女性です。
当時20代で結婚したAさんは、お子さんも2人の男の子がいて、私の友人から見てもごく普通の幸せそうな家庭に見えていたそうです。

ただ実際は、Aさんは30代の後半の頃から、1人の男性と不倫関係にあったそうなのです。

不倫
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その男性というのは、Aさんの旦那さまとも知り合いで、家族ぐるみで付き合う程に仲が良かったそうです。
逆にそのせいもあってか、旦那さまにその男性との関係を不審に思われることもなく、上手く不倫関係を続けていたそうなのです。

そして一番驚くのは、Aさん夫婦の次男は、実はその不倫相手との間に出来た子供だったのです。

不倫相手との子供
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もちろん妻の不倫に気付いていない旦那さまは、自分の子供を疑うこともなく大事に育てていたそうです。

ただ、2人の子供の顔が似ていなかったので、気付かれるのではないかとAさんはかなり心配していたようなのですが、旦那さまが気付く様子は全くなかったそうです。

とても優しい旦那さまで、Aさんがイライラして八つ当たりしても怒る事もなく、いつも穏やかで、いい旦那さまだったそうです。

そんなある日、その旦那さまが大病を患ってしまい闘病生活が始まってしまいました。
旦那さまは辛く苦しい闘病生活でも弱音一つ吐かず、本当に強い人だったそうです。

そんな時でもAさんの不倫関係は継続していたそうなのですが、やはり家族の大切さに気が付いたAさんは、不倫相手との喧嘩も多くなり、だんだんと疎遠になった後、そうやくお別れをしたのだそうです。

その後、Aさんは献身的に旦那さまを支えて一緒に頑張ったそうなのですが、残念なことに、旦那さまは若くして他界してしまったそうなのです。

人望も厚かった旦那さまの葬儀は盛大に行われ、仏壇も立派なものを購入したそうです。

盛大な葬儀
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それから月日が経ち、自立した2人のお子様が家を出た頃のことです。
1人で住むには広すぎると、Aさんは今の家を売り、小さい家に引っ越すことにしたそうです。

引っ越し当日。
家具や荷物を運び出し、いざ仏壇を運ぼうと動かすと、仏壇が置かれていた裏の壁を見て、Aさんは恐怖ですくみ上がりました。

そこには、旦那さまの顔そっくりのシミが、くっきりと浮かび上がっていたんです。

旦那さまの顔そっくりのシミ
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壁のシミではあったものの、誰が見ても明らかに旦那さまの顔そのものだったそうです。

ですが、もしそれだけなら、優しい旦那さまが家族を心配して出て来てくれたのかな?とも思えますが、明らかにそうではないことが分かったそうです。

なぜならその表情は、あの穏やかな旦那さまからは想像できない程の、鬼の形相をしていたから。

鬼の形相
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怒りと恨みに引き攣る様な、生前には見たこともない旦那さまの恐ろしい表情。

Aさんはその壁のシミを見て察したそうです。

「ああ、夫は全て、気が付いていたんだ…」

Aさんは旦那さまにばれず上手く不倫をして、子供も作って、何食わぬ顔をして周囲にはいい奥様を演じていました。

しかし、全部自分の独りよがりだと気付いたAさんは、そのシミの前で愕然と立ち尽くしたのだそうです。

友人からのこの話を聞いて、

「優しい旦那さまが最後にAさんの思い上がりを正してくれたのかも…」

私はそんな風に感じたのですが、

「そんなわけないでしょ。最後まで嘘をつかれ続けた旦那さんは、表には出さずとも、実はAさんのことを物凄い恨んで死んでいったんだよ。」

と、友人は吐き捨てるように言いました。

やっぱりそうなのでしょうか?

旦那さまが亡くなるまで隠し通したAさんの嘘に対して、旦那さまが亡くなった後、その恨みと怒りだけが現世に現れた。

だとしたらこれは、Aさんにとっても、旦那さまにとっても、行き場のない悲しい結末だと思いませんか?

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