【怖い話|実話】短編「お兄ちゃん…だよね?」心霊怪談(北海道)

投稿者:健治 さん(27歳/男性/フリーター)
体験場所:北海道N市の自宅

これは私がまだ保育所に通っていた頃の話です。

私には歳の離れた二人の兄がおりますが、二人とも末っ子の私ともよく遊んでくれる兄でした。

私の家は北海道N市で漁業を営んでおり、すぐそばには海があるだけで、周りには他に民家もないようなところでした。
なので兄が帰ってくるまで私は一人で遊ぶしかありませんでした。

漁業を営む家
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私が通う保育所が休みだったその日、当然兄達は学校に行っているので、私はいつも通り一人で遊んでいました。

兄が帰ってくるまでの間、家のすぐそばにある二階建ての倉庫の前で遊んでいました。
その倉庫は漁業資材を置いていたり、魚の選別をしたりする場所で、普段から私も家族と一緒にそこで仕事を手伝ったりしていて使い慣れた場所だったので、一人で遊んでいても不安なことはありませんでした。

「あれ?」

ふと倉庫の二階の窓に目をやると、そこに人影がありました。

倉庫の二階の人影
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うっすらと見えるだけで、顔まではハッキリ見えないのですが、窓越しに白くぼんやりとした人影が、間違いなく見えます。

「お父さん…かな?」

私はあたりを見回し、父が周りにいるかどうかを確認しました。

すると、ちょうど家の中から父が出てきたのですが、その父を見てキョトンとしている私に、

「どうした?なにかあったか?」

と、父が問いかけてきました。

「二階に誰かいるよ?」

と私が言うと、

「誰だろうな?お母さんも家にいるしな?気のせいだろ。」

と言って、父は車庫に向かって歩いて行きます。

「お兄ちゃんが帰ってきたのかな?」

と、私は陽気な声で父に言い残し、倉庫の二階に向かいました。

私をびっくりさせようと兄が黙って帰ってきて、私に気付かれれないように倉庫の二階に隠れたのではないかと思い、私はニコニコしながら倉庫の中へと入って行きました。

「お兄ちゃん?帰ってたのー?」

と、ホコリと蜘蛛の巣がそこら中にある倉庫の二階を目指し、私は階段を上っていきます。

「お兄ちゃ~ん・・・」

ですが、何度呼びかけても兄の返事はなく、私は階段を上るにつれて少し不安になってきました。

二階に着くと、そこには漁に使う手直し中の網が広げてあるだけで、他に誰もいませんでした。

(あ、びっくりさせるために隠れてるんだ!)

兄が隠れられるような場所もないのですが、それでも私はそんな風に思い漁網が広がるその広い空間に向かって、

「お兄ちゃーん?いるんでしょぉー?」

と叫んでいました。

すると、

「うん、いるよ」

と言う、少年の声が後ろから聞こえました。

背後から少年の声
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「え?お兄ちゃん?」

私は少し違和感を感じました。

なぜなら、聞こえてきた声は明らかに兄の声とは違い、自分と同じか少し上くらいといった感じの少年の声だったのです。

「こっちだよ。」

明らかに声に違和感は感じるものの、まだ幼かった私には兄だという思い込みの方が強く、すぐに声がする方を振り向きました。

振り向いても誰もいない
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・・・そこには誰もいませんでした。

「あれ?お兄ちゃん?どこ?」

確かに声が聞こえた。
それに会話もした。
それなのに、その相手がどこにもない…

私は急に怖くなって、外に出たくてすぐに走り出したのですが、何かに躓き前のめりに転んでしまいました。

あまりの痛みに涙目になりながらも、すぐにここから離れたいと立ち上がると、

「ねぇ・・・一緒に遊ぼうよ」

再び声がしました。

でも、先ほどと違うのは、声は後ろからではなく、自分の足元からします…

私は恐る恐る足元を見ました…

足元に少年の顔
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「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

顔が半分腐敗した少年が笑顔でこちらを見つめていました。

鳥肌が立ち、私は大きな叫び声を出すと同時に、足元にしがみつくその少年を必死に振り払い、そのまま階段を駆け下りようとすると、

「かくれんぼするんだね?」

少年はそう言って、

「いーち・・・にー・・・」

数を数え始めたのです。

私は死に物狂いでそこから逃げました。

「ごー・・・・ろーく・・・」

遠くから聞こえる声に恐怖して階段を転がり降り、倉庫の外に飛び出ました。

・・・そこに父がいました。

「どうした!?大丈夫か!?」

怯える私に父は驚き、すぐに駆け寄り私を抱き上げてくれました。

(…あれは…誰?)

今見たものを自分でも理解できなかったため、父親に説明することも出来ず、私はただただ泣きじゃくっていました。

・・・その体験以来、私は倉庫に近付かなくなりました。

後で父から聞いた話ですが、昔、近くの浜で、私と同い年ぐらいの少年の水死体が上がったことがあるそうです。

その顔の半分は腐敗していたと言っていました。

もしかしたら、その子が同年代の私と遊びたがっていたのでしょうか…

それからもう二十年近く経ちますが、今でもたまに一人でいると怖くなる時があります。

「もういいかい?」

という声が聞こえてきそうで・・・。

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