【怖い話|実話】短編「半透明なもう一本」不思議怪談(東京都)

【怖い話|実話】短編「半透明なもう一本」不思議怪談(東京都)
投稿者:キャメ さん(35歳/女性/会社員)
体験場所:東京都目黒区のマンション

都内に住んでいた頃の話です。

私の住んでいた部屋は1Rの8畳、そこに2年近く住んでいたのですが、その間に怖い体験などしたことなかったのですが、ただ一度だけ、不思議な体験をしたんです。

その日は随分疲れていて、夕方に少し時間があったので部屋で寝ていたんです。

ふと目が覚めると、目の前にはいつもの部屋が広がっていました。

ボーっとしたまま数回瞬きをして、体を起こそうとした瞬間気が付きました。

「あ、金縛りかも・・・」

過去に何度か経験があったので、身体の状態で直ぐに分かりました。

瞬きだけは出来るのですが、脳がまだきちんと働いていないのか体を動かすことが出来ません。

過去に経験があったとしても、決して慣れているわけでもないし気持ちの良いものではないので、早く解けないかともがいてみました。

けど、やっぱり思うように金縛りが解けるはずもなく。

そんな時、思い出したことがあったんです。

金縛りに遭った時は身体全体を動かそうとはせず、身体の一部分だけを集中して動かそうとすると解けると、何かで聞いたことがありました。

さっそく実行してみようと、視線の先にある腕だけを動かそうと集中しました。

すると実際に腕が動く感覚があったのです。

「あ!本当に動いた!これで金縛りが解けるかも」

そう思った途端、ギョッとしました。

視線の先に見える腕が、半透明になっていたのです。

「え?何?」

一度腕を戻してもう一度動かしてみるのですが、やはり腕は半透明のまま。

ただそれだけではなく、半透明の動く腕とは別に、動かないままの腕がその場にハッキリ横たわってあったんです。

要するに、動かす前からある元の腕と、動かした感覚のある半透明の腕、その2本が私の目に見えるのです。

何度も半透明の腕を元の腕に戻し、再び動かしてみるのですが、やはりハッキリ質感を持った元の腕は動かないまま。それとは別に動く半透明の腕。その二本の腕が重なったり離れたりしています。

その時思いました。

「あ、もしかして、これが幽体離脱なのかな?」

と、目の前で起こっている謎の現象が解った気がしました。

不思議と恐怖心はなかったです。

「あ!じゃあこれで身体全体を動かしたら、半透明の自分が全身から出るのかもしれない!」

気になったら試してみたくなりました。

上半身を少し起こしてみようと。

すると、あっさり上半身が起き上がる感覚がありました。

「よし、振り返って自分を見てみよう!」

と、首を後ろに捩じろうと思った途端、急にそれまで自分の中になかった恐怖心が駆け巡りました。

今、自分の意識とは別に、そこに寝ている自分がいる。

そう思うと急に怖くなり、振り返って自分を見てみようなんてことは到底出来ませんでした。

ゆっくりと前を向いたまま身体を倒し、再び元の体勢に戻りました。

そのまま何度か瞬きを繰り返していたら、いつの間にやら完全に目が覚めていました。

なんだかすごいことを体験したような気がして、ずっとドキドキしていました。

ただ困ったことに、それ以降、どうやら私は幽体離脱しやすい体質になってしまったようです。

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