体験場所:東京都目黒区のマンション
都内に住んでいた頃の話です。
私の住んでいた部屋は1Rの8畳、そこに2年近く住んでいたのですが、その間に怖い体験などしたことなかったのですが、ただ一度だけ、不思議な体験をしたんです。
その日は随分疲れていて、夕方に少し時間があったので部屋で寝ていたんです。
ふと目が覚めると、目の前にはいつもの部屋が広がっていました。
ボーっとしたまま数回瞬きをして、体を起こそうとした瞬間気が付きました。
「あ、金縛りかも・・・」
過去に何度か経験があったので、身体の状態で直ぐに分かりました。
瞬きだけは出来るのですが、脳がまだきちんと働いていないのか体を動かすことが出来ません。
過去に経験があったとしても、決して慣れているわけでもないし気持ちの良いものではないので、早く解けないかともがいてみました。
けど、やっぱり思うように金縛りが解けるはずもなく。
そんな時、思い出したことがあったんです。
金縛りに遭った時は身体全体を動かそうとはせず、身体の一部分だけを集中して動かそうとすると解けると、何かで聞いたことがありました。
さっそく実行してみようと、視線の先にある腕だけを動かそうと集中しました。
すると実際に腕が動く感覚があったのです。
「あ!本当に動いた!これで金縛りが解けるかも」
そう思った途端、ギョッとしました。
視線の先に見える腕が、半透明になっていたのです。
「え?何?」
一度腕を戻してもう一度動かしてみるのですが、やはり腕は半透明のまま。
ただそれだけではなく、半透明の動く腕とは別に、動かないままの腕がその場にハッキリ横たわってあったんです。
要するに、動かす前からある元の腕と、動かした感覚のある半透明の腕、その2本が私の目に見えるのです。
何度も半透明の腕を元の腕に戻し、再び動かしてみるのですが、やはりハッキリ質感を持った元の腕は動かないまま。それとは別に動く半透明の腕。その二本の腕が重なったり離れたりしています。
その時思いました。
「あ、もしかして、これが幽体離脱なのかな?」
と、目の前で起こっている謎の現象が解った気がしました。
不思議と恐怖心はなかったです。
「あ!じゃあこれで身体全体を動かしたら、半透明の自分が全身から出るのかもしれない!」
気になったら試してみたくなりました。
上半身を少し起こしてみようと。
すると、あっさり上半身が起き上がる感覚がありました。
「よし、振り返って自分を見てみよう!」
と、首を後ろに捩じろうと思った途端、急にそれまで自分の中になかった恐怖心が駆け巡りました。
今、自分の意識とは別に、そこに寝ている自分がいる。
そう思うと急に怖くなり、振り返って自分を見てみようなんてことは到底出来ませんでした。
ゆっくりと前を向いたまま身体を倒し、再び元の体勢に戻りました。
そのまま何度か瞬きを繰り返していたら、いつの間にやら完全に目が覚めていました。
なんだかすごいことを体験したような気がして、ずっとドキドキしていました。
ただ困ったことに、それ以降、どうやら私は幽体離脱しやすい体質になってしまったようです。
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