【怖い話|実話】短編「藤沢の海の不気味な光景」不思議怪談(神奈川県)

134号線
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投稿者:ニック さん(40代/男性/自営業)
体験場所:神奈川県藤沢市の海岸

若いころ、私はドライブが好きでした。

湘南に住んでいたため、ドライブコースとして人気の国道134号線をよく走っていました。この道路は海沿いに伸びており、海岸の向かいにはおしゃれなお店が並んでいます。それに真っすぐに伸びているところも多くて、ドライブにはもってこいの道でした。

しかし、日中は観光客の車で混むため、私はあえて深夜に出かけることも多く、そんな時は自分と同じように車好きの友人と予定を合わせ、深夜のドライブを一緒に楽しんでいました。

普段はドライブを楽しむだけなのですが、その日は友人の一人が「砂浜に降りてみようよ」と言うので、藤沢の海岸沿いに車を停め、砂浜に降りました。

深夜の砂浜
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深夜の砂浜、波の音だけが静かに聞こえます。

当然のことながら海水浴客などはおらず、昼間の賑わいとは全く雰囲気が違います。
ここが海だと実感できるのは、波の音と砂浜の感触だけ。周りは真っ暗で何も見えません。

遠くに点々と建物の灯りが見え、徐々に暗闇にも目が慣れてきました。薄っすらと暗い海の上に水平線も見えるようになりました。

海は非常に穏やかで、それがとても心地よくて、私も友人たちも声を出さずにその余韻を楽しんでいました。

さらに目が慣れてきたころ、沖の方に何か見えました。

「あれは何だろう?」

そう思って海辺に近付いてみると、それが海面を水平方向に向かって長く伸びているのが分かります。ものすごい長さです。

さらに波打ち際のぎりぎりまで近づいてみて、その正体が分かりました。

海面に伸びる何か
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人間でした。

無数の人間が、こちらに背を向ける形で海に立ち、水平方向にものすごい長さで、きれいに整列しているのです。

無数の人間
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足の膝くらいまで海に浸かっている無数の人間。遠目であるためか、整列している人たちの身長はみな同じくらいに見えます。というか、岸から遠く離れたあの辺の水深って、あの程度なのだろうか?

そもそもあれらが人であることが分かっても、全く状況は理解できません。

「なんだ…あれ…?」

気味の悪いおかしな光景に暫し呆然としてしていた私は、ハッとして、

「…あそこに、人がいるの、見える?」

と、一緒にいた友人に聞きました。

「見える…」

一言だけ返事が返ってきます。

よく耳を澄ますと、波音に混じってわずかに聞こえる程度、あの整列した人たちがなにか声を発しているのが分かります。ブツブツブツブツ何かを呟いているような感じ。

ブツブツ何かを呟いている
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何を言っているのかは分かりませんが、さすがに怖くなりました。

(もし、あの大勢の人が一斉にこちらを振り向いたら、一体どうなるのだろう…)

そんな思いが私の頭をよぎりました。
おそらく友人達も同じ思いだったのでしょう。

「…戻ろう」

友人の一人がボソッと言うと、みな無言で車に戻りました。

後日、同じメンバーであの夜見た光景について話すと、

「海で整列していた人たちはみんな杖のようなものを持っていた」

「みんな同じ服を着ていた」

「彼らが乗ってきた車などは周辺には見当たらなかった」

など、あの日の光景について冷静に思い出されるのですが、結局、あれが何だったのかは判然とせず…

最終的に『何かの修行に来ていた人たち』という結論にまとめ、無理に自分たちを納得させたのですが、どことなく、誰もが意図的に『幽霊』という言葉を避けていたのも確かだったと思います。

結局あれは何だったのでしょうか?

深夜の異様な光景。藤沢の海の向こうに整列する無数の人間。
今思い出しても、何となく寒気を感じる奇妙な光景でした。

もし、あの藤沢の海のあの光景をご存じの方がいたら、一体あれが何なのか教えて欲しいです。

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