体験場所:岐阜県G市
このお話は、私が昔、岐阜県G市で実際に体験したお話です。
当時、私は高校2年生で、部活で少しでも良い結果を出したいと思って日々トレーニングを欠かさずに行っていました。
夏休みに入ってしばらく経った、7月も終わるある日の真夜中。
その日、私は近所を適当にランニングしてみようと思いつきました。
中学生の頃は陸上部に入っていたのでランニングもほぼ毎日の日課としていたのですが、高校に入ってからは自主的に走ることはほとんど無かったので、たまにはトレーニングのマンネリ打破や勉強の気分転換には良いだろうと考えたからです。
早速外に出て適当に走りまわり、夜中の近所の様子を見て回っていました。

高校に入ってからはスマートフォンを買い与えて貰ったため、何をするにしてもずっとスマホの画面とにらめっこしてばかりで、良くないことは重々承知なのですが、学校の行き帰りもいつも歩きスマホでした。
それで気が付かなかったのですが、改めて町の様子を見てまわってみると、随分と寂れて活気が無くなってしまっているのに気が付きました。
言うまでもなく真夜中だからということもあるのでしょうが、それでもやはり昔よく通っていた商店街はシャッターが閉まっている店舗ばかりで、街灯も以前はずっと点いていたのが今ではところどころ不規則に消えていたり、点いていたとしてもチカチカと点滅していたり…
そんな感じで、自分がスマホに夢中になっていたこの数年の間に、街の様子がすっかり変わってしまっていたのです。
(ここ最近は全く目もくれていなかったとはいえ、ここまで様変わりしているとやはり寂しいものだなぁ・・・)
そんな感じで、ノスタルジックな雰囲気に一人で浸っていたのですが・・・
突然、『ドドドドドドドッ!!!』という大きな音がして、その気分から無理矢理覚まされました。
何かと思って辺りを見回してみたら、どうやらそれは、商店街の少し先から聞こえてくるようです。
気になったので音のする方へ行ってみると、そこには、大きな古い建物がそびえ立っており、その中から聞こえる工事作業の音であると言うことが分かりました。

(何だ、ビルの解体作業の音だったのか…)
ここいらの商店街は軒並み閉店していたので、言うまでもなくこのビルも用済みとなり、壊される運命なのでしょう。
(1年後には見慣れた街の風景も大きく変わるんだろうな)
と、感傷に浸りながら家に戻り、シャワーを浴びて布団に入りました。
ですが、眠ろうと目を閉じてしてしばらく経ってから、少し違和感を感じたのです。
(あのビル・・・何でこんな真夜中に作業していたんだ?それにあれだけ大規模な工事だったのに、人の気配が全くしなかったな・・・)
何となくそれが気になったので、翌日もう一度あのビルのあった場所に行ってみたんです。
すると・・・

そこには何もない、ただの更地が広がっていたんです。
そんなはずはありません。
確かにほんの12時間ほど前には大きなビルがあって、そこから大規模な工事の音がしていたのです。
まさか一晩の間に跡形もなくビルを解体するなどありえません。
・・・後々聞いたのですが、あの場所には以前、大きな個人病院があったらしく、数年前に悪質な管理を指摘されて廃病院と化していたそうです。その後、私が高校に入る前には取り壊されたみたいで・・・
そんな病院ですから、多くの人があの場所で納得のいかない不条理な亡くなり方をされたそうです。
結局、何故私があの日の夜にあのような光景を観たのか、全ては分からず終いです。
ですが、もしかしたらあの光景には、あの場所で口惜しい亡くなり方をされた方々の、無念のメッセージでも込められていたのでしょうか?
今となっては知る由もありませんが…
私が学生時代に体験した奇妙な出来事でした。
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