【怖い話|実話】短編「真夜中の解体工事」不思議怪談(岐阜県)

投稿者:ラバーズオンザビーチ さん(24歳/男性/フリーター)
体験場所:岐阜県G市

このお話は、私が昔、岐阜県G市で実際に体験したお話です。

当時、高校2年生だった私は、部活で少しでも良い結果を出したいと思って、日々トレーニングを欠かさずに行っていました。

夏休みに入ってしばらく経過した、7月も終わりのある日の真夜中。
私は近所を適当にランニングしてみようと思い付きました。

中学生の頃は陸上部に所属していたので、ランニングもほぼ毎日の日課としていたのですが、高校に入ってからは走るトレーニングはほとんど行わなかったので、たまにはトレーニングのマンネリ打破、それに勉強の気分転換にも良いだろうと考えたのです。

早速外に出て、夜中の近所の様子を見て回るように適当に走っていました。

真夜中のランニング
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高校に入ってからはスマートフォンを買い与えて貰ったため、何をするにしてもずっとスマホの画面とにらめっこしてばかりで、良くないことは重々承知なのですが、学校の行き帰りもいつも歩きスマホでした。

それで気が付かなかったのですが、改めて町の様子を見て回ると、随分と寂れて活気が無くなってしまっている事に気が付きました。

言うまでもなく真夜中だからということもあるのでしょうが、それでもやはり昔よく通っていた商店街は閉業してしまっている店舗ばかりで、以前なら夜中でも灯っていた街灯もところどころ不規則に消えていたり、点いていたとしてもチカチカと点滅していたり…

そんな感じで、自分がスマホに夢中になっていたこの数年の間に、街の様子がすっかり変わってしまっていたことに気が付いたのです。

(ここ最近は全く目もくれなかったとはいえ、ここまで様変わりしているとやはり寂しいものだなぁ・・・)

そんな感じで、一人ノスタルジックな気分に浸っていた時でした。

『ドドドドドドドッ!!!』

突然大きな音がして、懐古的な気分から無理矢理目を覚まされました。

何かと思って辺りを見回すと、どうやらそれは商店街の少し先から聞こえてくるようです。

気になって音のする方へ行ってみると、そこには大きな古い建物がそびえ立っており、その中から聞こえる工事作業の音であることが分かりました。

解体工事
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(なんだ。ビルの解体作業の音だったのか…)

ここいらの商店街は軒並み閉店していたので、言うまでもなくこのビルも用済みとなり、壊される運命なのでしょう。

(1年後には見慣れた街の風景も大きく変わるんだろうな…)

と、再び感傷に浸りながら家に戻り、シャワーを浴びて布団に入りました。

ですが、眠ろうと目を閉じてしてしばらく経ってから、少し違和感を感じたのです。

(あのビル・・・何でこんな真夜中に作業していたんだ?それにあれだけ大規模な解体工事なのに、人の気配が全くしなかったな・・・)

何となくそれが気になったので、翌日もう一度あのビルのあった場所に行ってみたんです。

すると・・・

更地
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そこには何もない、ただの更地が広がっていました。

でも、そんなはずありません。
ほんの12時間ほど前には確かに大きなビルがあって、そこから大規模な工事音がしていたのです。

まさか一晩の間に跡形もなくビルを解体し、現場の撤収まで終えるなど有り得ません。

・・・後々聞いたのですが、あの場所には以前、大きな個人病院があったらしく、数年前に悪質な管理を指摘された後、廃病院と化していたそうです。その後、私が高校に入る前には取り壊されたみたいで・・・

そんな病院ですから、多くの人があの場所で納得のいかない不条理な亡くなり方をされたそうです。

結局、私があの夜に見た光景については、分からないままです。

ですが、もしかしたらあの光景には、あの場所で口惜しくも亡くなられた方々の無念のメッセージが込められていたのかもしれない。
そんな事も考えたりもするのですが、今となってはそれを知る術もありません…

学生時代に体験した奇妙な出来事です。

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