
体験場所:東京都世田谷区 用賀駅近くのアパート
これは、私が東京都世田谷区の用賀駅近くのアパートに住んでいた時に体験した、未だに良く分からない出来事です。
あの日、仕事で遅くなり、帰宅したのは夜中の1時を過ぎていました。
シャワーを浴びて、ようやく寝られるとベットに入ろうとした矢先のこと、突然「ピンポーン」と玄関の呼び鈴が鳴りました。時刻は深夜2時になっていたと思います。
「こんな時間に誰だ?」と少し身構え、インターホン越しに外の様子を確認したのですが、モニターには誰の姿も映っていません。
なんだか気味が悪くて、玄関を開けるのも不安だったので、そのまま放置していたのですが、10分程して再び「ピンポーン」と呼び鈴が鳴ったのです。
嫌な予感がしました。
誰かのいたずら?そうでなければ、もしかして泥棒の下見か!?
怖くなって警察を呼ぼうか迷いましたが、深夜だし下手に警察を呼んでも面倒だ。それにそもそも私の勘違いだったら申し訳ないと、警察への通報は思い留めました。
音を立てないようゆっくりと玄関に近付き、ドアスコープを覗いて外を確認しましたが、やはりドアの前には誰の姿もありません。まんじりともせず、そのまましばらくドアスコープから外を窺っていましたが、やはり誰も現れない。やっぱりいたずらか、そう思って部屋に戻ろうとした時でした。
ベランダの方から「カサッ」と小さな音が聞こえたのす。
慌てて窓に近寄り少しだけカーテンを開けて外を見ると、一瞬人影のようなものが見えた気がしました。
「え?」っと思った直後、人影はなくなっていました。
正直、本当に自分が人影を見たのかどうか確信が持てないまま、私は体を強張らせ、しばらくその場で息を潜めていました。
結局、その日は何事もなく朝を迎えました。
翌朝、私はすぐに不動産会社に連絡して、アパートに取り付けられた防犯カメラの映像を確認してもらったのですが、映像には誰の姿も映っていませんでした。
私が深夜に帰宅して以降の時間、玄関にもベランダにも、防犯カメラには人の気配が全く映っていないのです。
あの呼び鈴は誰が鳴らしたものだったのか…
ベランダで見た人影はなんだったのか…
当時働き詰めだった私、疲れで幻覚でも見たのかとも考えましたが、それにしてはあまりに生々しい体験でした。
その翌日、気味の悪さが払拭できないまま、仕事に向かおうと玄関を出ると、不意にアパートの隣人と顔を合わせました。
挨拶を交わした後、私はなんとなく隣人に一昨日の夜のことを話してみることにしました。
すると隣人の顔色が一瞬曇り、何かを言いかけてから、それを飲み込むようにして苦笑いを浮かべてこう言いました。
「……ああ、それ、たまにあるんですよ」
「たまに?」と聞き返すと、隣人は少し言いづらそうに「このアパート、前にも同じようなことがあったって聞いたことがあります。原因は分からないけど、みんな気味悪がってすぐに引っ越しちゃうんですよね」と言いました。
それ以上あまり深く聞くのも怖くて、私は早々に話を切り上げ会社へと向かいました。もしかするとこのアパートには、説明のつかない「何か」があるのかもしれない。そんなことを思いながら。
後日、そのことを友人に話すと「もしかすると前の住人に何かあったんじゃないか?」なんて冗談半分で事故物件扱いされましたが、某事故物件サイトで確認しても、どうやらそんな事実はなさそうです。
結局、その出来事を理由に、私は用賀駅近くのそのアパートを引き払い、今の場所に引っ越しました。
それ以来、あの夜のような奇妙な出来事は起きていません。
ただ、あの晩のことを思い出すたびに、未だに背筋が寒くなります。
もしあの時、玄関ドアを開けていたら・・・
そんなことを考える度に怖くなるので、そう考えると、引っ越しの判断は間違いなく正解だったと今も思っています。
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