【怖い話|実話】短編「曾祖母の初盆」不思議怪談(群馬県)

【怖い話|実話】短編「曾祖母の初盆」不思議怪談(群馬県)
投稿者:shilasu さん(20代/女性/会社員)
体験場所:群馬県太田市

2017年の12月、私の曾祖母が亡くなりました。

不思議な体験をしたのはその翌年、曾祖母の初盆の時でした。

私の父は長男ということもあり、祖父母とは敷地内同居という形で暮らしています。
亡くなった曾祖母は、その祖父母の家に同居していました。

我が家では毎年お盆の時期になると祖父母の家で盆棚を作り、ご先祖様をお迎えするのが習慣です。

昨年末に亡くなった曾祖母の初盆に当たるその日も、例年と同じように祖父母の家で盆棚を作りお線香を焚いて、ご先祖様を迎える用意をしていました。

慌ただしく家族が働く中、私はなんとなく盆棚の前に座って曾祖母のことを思い出していました。

数分間、盆棚の前に1人で座っていると、よく曾祖母が座っていた縁側の方(私からみて左側の方)が、なんとなくですがポワポワと暖かい空気に包まれているような感じがしました。

曾祖母はその縁側に座って日向ぼっこをするのが大好きでした。

そんな曾祖母の姿を思い出し、私は「あ~ばぁちゃん帰ってきたんだな~」なんて、ボーっと思っていると、不意に思いもしないことが起こったのです。

その日は全く風の吹いていない日でした。
それなのに縁側の窓にスーッと、人ひとり通れるくらいの隙間が勝手に開いたのです。

それでハッと我に返り、すぐに縁側を振り返ったのですが、もちろん誰もいるはずもなく、真夏の真昼間にも関わらず何となく寒気を感じた私は、そのままその部屋を後にしました。

その日の夜、祖父母の家にいとこ達が集まって、毎年恒例の食事会が始まりました。

夜も更け、いい時間になってきたのでそろそろ解散かという時でした。

盆棚のある部屋から視線を感じ、フッとそちらに目を向けると、ふすまの開いた薄暗い部屋の奥に、白い影があるのが見えました。

それも曾祖母の背丈と同じくらいの大きさの影。

腰が曲がって少し小さくなった曾祖母と、同じくらいの背丈のその白い影は、そのまま盆棚のある部屋からスーッと出てくると、生前に曾祖母が使っていた部屋へと、ふすまを開けることもなく今度もスーッと入いって行ったのです。

後で聞いて驚いたのですが、その白い影を見ていたのは私だけではなく、弟も見たと言っていました。

そんな正体の分からないモノを見たにも関わらず、意外なことに私も弟も「怖い」という感情を抱くことは一切ありませんでした。

その夜は普通にお風呂に入って眠りました。

曾祖母が亡くなって以来、私はそれまで1度も曾祖母の夢を見たことがなかったのですが、その夜は初めて夢に曾祖母が出て来たのです。

まだ2、3歳頃の幼い私が庭で曾祖母と一緒に遊んでいる夢でした。

ただ不思議なのは、その夢には何故か一切の音声がなく、私と曾祖母が遊んでいる映像だけが延々と流れているような夢でした。

翌朝、夢の話を父と母に話すと、「え?その映像ならビデオに残ってるいよ」と言われ、見てみることにしました。

映像には、夢で見たのと同じ情景、幼い頃の私が庭で曾祖母と遊んでいる様子が映されていました。

ただ、映像には音声も入っていて、ビデオカメラに向かった曾祖母が「こうやってひ孫と遊ぶのが夢だった。幸せだ。」と話していたのです。

母も私もそれを聞いた瞬間、曾祖母にとって楽しくて幸せな時間だったんだな、それを夢で私に見せてくれたんだなと、とても嬉しい気持ちになりました。

曾祖母の初盆だったあの日以来、白い影も曾祖母の夢も見ていませんが、あの日の出来事は私にとって、不思議で幸せな体験でした。

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