体験場所:埼玉県坂戸市
これは僕が大学3年生の秋ごろに体験した話です。
当時、通っていた大学で体育会系の部活に所属していたため、勉強と部活で日中は毎日とても忙しい日々を過ごしていました。
そんな状況にも関わらず、更にアルバイトも始めたかった僕は、仲の良い先輩が働いていた某コンビニエンスストアを紹介してもらい、そこで夜間のアルバイトを始めたのです。
勤務時間は22時から2時までの準夜勤、又は22時から6時までの夜勤が主でした。
ある日、いつものように学校と部活を終えて家に帰り、バイトが始まるまでの少しの間だけでもと、眠っていた時でした。
僕は変な夢を見たのです。
その内容はバイト終わりのいつもの光景でした。
22時から2時までの準夜勤を終え、僕はいつも通り自転車で家に帰っていました。
もうそろそろ家に到着というところで、家の前にある小さな公園に差し掛かった時、前から1人のおじさんが歩いてきました。
別に意識することもなくそのおじさんの横を通り過ぎたのですが、その時でした。
突然おじさんが振り返ったかと思うと、手に刃物を持って走って僕を追いかけて来たのです。
驚いた僕は全速力で自転車を漕ぎ、すぐそこの家の駐輪所に自転車を止め、急いで家の鍵を開けようとしたのですが、間に合わず、そこでおじさんに刺されてしまったのです。
目を覚ました時、普段は夢など見ないこともあってか、その夢が酷く印象に残り、嫌な気持になったのを覚えています。
それから二日ほど経った日のことです。
その日は22時から2時までの準夜勤のシフトが入っていました。
すっかり先日の夢のことなど忘れていて僕は、いつものようにアルバイトを終えたのですが、自転車に乗って家に向かっていると、ふと夢のことを思い出したのです。
なんだか嫌な気分になってしまったまま、例の公園に差し掛かった時、前から誰か男の人が歩いて来ることに気が付きました。
偶然だろうと思いつつも、やはり夢のせいもあって僕はとてもドキドキしてしまっていたし、万が一のことも考えて、男性とは道を挟んだ反対側を走行し、距離をとってその男性の横を通り過ぎようとしました。
身を強張らせ、出来るだけそちらを見ないように注意しながら、道を挟んだ対面から男性の横をすれ違った瞬間でした。
「夢とは違ったね…」
と、耳元で呟く男性の声が聞こえたのです。
あれだけ距離をとっていたのにどうして!?、と、僕は恐怖で混乱し、一心不乱に自転車を漕いで家の駐輪場に入ったところで後ろを振り返りました。
公園前の道に男性の姿はありませんでした。
その時の記憶は今でも鮮明に頭の中に残っております。
耳元で囁かれたあの声は今でも忘れることがありません。
たまたまその頃バイトを変えようと思っていた時期で、更にこの体験に背中を押される形で僕は直ぐにコンビニを辞めて、飲食店のバイトに変更しました。
なのでそれ以降、自転車で公園前の道を通る必要もなくなり、当然、僕自身が率先して通るわけもなく、結局その現象に遭遇したのは一度きりでした。
ただ、今になって考えてみると、当時は学校や部活が忙しい上に、更に夜勤のアルバイトまでやっていて、自分が思う以上に心身に負担をかけていたと思います。
あの現象は、そんな状況から早く脱するように僕を促してくれた、何かのメッセージだったのではないかと今では思うのです。
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