【怖い話|実話】短編「久しぶりの友人」人間が一番怖いと思った話(東京都)

投稿者:しか さん(28歳/女性/フリーター)
体験場所:東京都内の友人宅

これは以前に私が体験した話です。

ある日、最近あまり会うことが無かった友人のA子から突然連絡が入りました。
当時は宗教の勧誘が多く横行していたので、本当は行きたくなかったのですが、ご飯を奢ると言われ、つい誘いに乗ってしまいました。

A子は以前はとても明るい人だと感じていましたが、その日、久々に会ったA子はクマがひどく、かなり憔悴した印象を受けました。

ひどいクマの友人
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A子「久しぶり」
私「久しぶり、ねぇ本当に宗教とか勧誘してこないよね?」

既にメールでは宗教の勧誘をされるなら行かないと言っていたのですが、席に着く前に私は改めて確認しました。と言うのも、久々に見るA子の腕には沢山の数珠と、カバンにはお守りが下がっていたからでした。

A子は出来る限りの笑顔で、
「宗教の勧誘は絶対にしないよ」
と約束してくれました。

「ごめんね、急に呼び出して。とりあえずご飯食べよ」

それからは、今まで会っていなかった期間の取り留めのない内容を話してる内に、気付くとデザートまで食べ終えておりました。その頃には、私のA子に対する疑いの気持ちも解消され、普通に楽しく会話していたと思います。

すると突然、A子の携帯電話が激しく鳴り、A子はびくりと体を震わせました。

着信に怯える友人
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ですが、A子は電話には出ず、鳴りやまない電話をただ眺めるその姿は、何かに怯えているように見えました。
携帯の画面をただ見つめるだけのA子を不気味に感じ、私は声をかけてみました。

「どうしたの?」

「いや。ええっと、場所変えていいかな?」

A子は近くに自分の家があると言うので、私はお邪魔することになりました。

友人宅へ
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A子の家に到着すると、なんだか急に寒気を感じました。
季節はまだまだ春だったので、帰ったばかりの家が冷えていてもおかしくはありませんが、何となく背筋が寒くなるその感じがとても嫌で堪りません。

「ごめんね、寒いでしょ?エアコンつけるね。」

見ると、エアコンの設定温度は30度。
明らかにおかしい温度設定に私は再び恐怖を覚えます。

「え、温度設定おかしくない?」

「いいの、エアコン壊れてるから」

そう言ったA子は、立ったまま座ろうとしません。

「そういえば今日は私、なんで呼ばれたのかな?」

「あのね、今日一緒にこの家に泊まってほしいの」

「え?なんで?」

A子はその問いに答えること無く、冷蔵庫から麦茶を取り出すとコップに入れて私に差し出し、無言でテレビをつけると席に座りました。

麦茶を差し出す友人
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「たまに、1人がさみしくてさ」

こちらを見ることなくそう口にする彼女の姿は、先ほどまで楽しく話していた姿とはかけ離れているようでした。

「明日、仕事早いし、今日はやっぱり帰ろうと思うよ」

ありきたりな私のその言葉に、A子は残念そうにしていましたが、少し考えた後、

「夕食はここで食べていけばいいじゃん」

と、提案してきました。

正直何とかしてここから逃げようと考えましたが、上手く頭が働かず口が回りません。
仕方なく、私は夕食を頂くことになりました。

夕食は鍋を一緒に作りました。

一緒に料理
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正直、何か変なものでも食べさせられるのでは?と、監視の目的があったことは言うまでもありません。

そして夕食時、A子はポツリポツリと今の悩みについて語り始めました。

その内容は、今付き合っている人がかなり束縛が激しい為、あまり友人と会うことが出来ないという話でした。

思っていたよりも普通の悩みに私は拍子抜けします。
先ほどの電話はそのお相手だったらしく、連絡をしなかったから電話が掛かってきたらしいのです。

「最近は暴力もしてくるようになって、ちょっと怖くて。実は今日も家に来るんじゃないかって思って…」

「そうだったんだ…」

A子が泊まって欲しかった理由に私は心を痛めました。
疑ってしまった罪悪感から、今日はやはりA子の家に泊まろうかと考えていた時、私の携帯に着信が入りました。

「あ、ちょっと電話してくるね」

私は廊下に出て、玄関の方へ向かい電話に出ました。

別な友人からの電話
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「もしもし?」
「もしもし!!ねぇ、今どこにいる?」

それは、A子と私の共通の友人B子でした。
B子には今日A子に久々に呼び出されたことを伝えていました。
そのB子の慌てた声に私は驚きました。

私「どうしたの?」

B子「今…一人?」

私「いや?今A子の家に…」

B子「は、早く外に出て。わ、私が痴漢に遭ったことにでもして!!」

私「え?どうして?」

B子「いいから早く!」

私「…ん?うん。分かった」

私は支離滅裂なことを言うB子に違和感を感じながらも、切迫したその雰囲気を察し、部屋に戻って「B子が痴漢に遭ってしまい混乱している。申し訳ないが今日は帰らせてもらう」という旨を伝えると、A子は笑いながら残念だけど今日は諦めると言いました。

外に出てからB子に再度電話をかけてみると、

B子「今どこ?」

私「池袋だけど」

B子「じゃあ、なるべく人がいるところにいて、私もそこに向かう」

そう言って、20分後に現われたB子は突然私に抱き着いてきました。
そして泣きながらこう言ったのです。

「A子とはもう会わないで!なんかね、A子、最近悪魔と付き合い始めたって言いふらしてるみたいで…」

A子とはもう会わないで
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B子は今日、他の友達と会っていた際にA子の話題が出たそうです。
そこで友達の一人が、前にA子がこんなことを言っていたと教えてくれたそうです

「悪魔と付き合う為には、彼の言うことを聞かなきゃいけないんだ…」

そう真顔で語るA子に異様な狂気を感じ、気味が悪くて仕方なかったと…

しかも、

「人の肉って、案外おいしんだよ。」

とも語っていたそうです…

人の肉って案外美味しいんだよ
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その言葉に私はゾッとしました。

(今日、私と会っていた理由って…もしかして…)

本当にA子が悪魔と関係しているのかどうかは不明ですし、そもそも悪魔って一体なんなのかも私には分かりません…

けど、もしあの時あのままA子の家に泊まっていたら…
そしてもし、本当にその彼氏が訪ねて来ていたら…
一体私はどうなっていたのだろう…

今でもあの部屋の薄ら寒さを思い出します。

それ以来、当然A子とは連絡をとっていません。

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