【怖い話|実話】短編「就活メンター」人間が一番怖いと思った話(東京都)

投稿者:らごろう さん(20代/男性/エンジニア)
体験場所:東京都S区の某ビル

これは私が就職活動をしていた時のことです。

周囲に比べ、私は就職活動の開始が遅くなってしまったため、その頃は挽回すべく躍起になって就職先探しをしていました。

そんな時友人から、

「就職をアドバイスしてくれるメンターという人がいるから、そういうのも利用してみたら?」

と言われ、早速利用してみることにしたのです。

メンターに応募
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メールを送ると一時間も経たないうちに連絡が来ました。

「○○時××分に、東京都◆◆区のビルに来て頂けませんか。面接対策のためのノウハウを無料で教えます」

メールにはそのような内容が記載されていました。
(実際はもっとかしこまった文章でしたが)

少し不審には思いましたが、その後、メールに記載されていた電話番号にかけてみると、感じのいい女性が対応してくれたので、私は安心して行ってみることにしました。

指定された場所に着くと、10階はあるであろうビルが立っていました。

私は恐る恐るビルの中に入っていくと、そこにはジャニーズにいてもおかしくないほどの容姿端麗な男性がいて、満面の笑みで迎えられました。

容姿端麗メンター
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「お待ちしておりました。光川(仮名)さんですね。初めまして。就職メンターの春日(仮名)と申します。どうぞこちらへ」

案内されるがまま付いて行くと、お洒落なオフィスの窓際の席に案内され、そこで春日という男が、

「えっと、就職活動でお悩みだとか」

と、気さくに聞いてきたので、

「はい、そうです。初めてなのでどこから手を付けたらいいか分からなくて。あと、自分が何をしたいかも不明瞭で…」

「なるほど、そうなんですか。因みに今、不明瞭だと言いましたか?」

「はい、言いましたけど…?」

「でしたら、とっておきの会社があるんですよ」

そう言うと、春日はスマホを取り出し操作し始めました。
すると、近くにあったプリンターが作動し、とある会社の概要が記載された書類が出てきたんです。

面接先が書かれた書類
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「こちらのA社は、やりたいことがない人にとっては最高の会社なんですよ」

「はぁ…。そうなんですか」

「えぇ!きっと気に入ると思いますよ!」

正直、面接とは関係のない会社の仲介で終わってしまいましたが、それでも『内定』という甘い二文字に踊らされ、不審には思ったものの、とりあえず私はA社を受けてみることにしたのです。
 
面接当日、私はそこで衝撃の体験をすることになりました。

面接にて、面接官の簡単な質問にいくつか答えただけで、

「君はもしかしたら、履歴書に書いてあるスキルを活用したいと思っているようだけど、今確信した。そのスキルは実践では使い物にならないよ。君は営業をやるべきだ」

「え!?営業ですか!?」

「あぁ、君は間違いなく営業向きだ。どうだろう、君は特別優秀だから、二次・三次を飛ばして一気に最終面接まで行ってみようか?」

突然の説得に(営業向きであることをしつこく主張してくる)、私は呆然と立ち尽くしてしまいました。

面接官の主張
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「あの…。少しお時間をいただいても良いですか?」

「う~ん。まぁいいよ。わかった。だけど、うちは結構人気の企業だから、早めに決断してくれると嬉しいな。こちらも採用できる人数には限りがあるから」

確かに人気企業であることを証明するように、面接会場である本社は、表参道にオフィスを構えていました。

私は最終面接を受けるか否か迷ってしまいました。
その迷いを断ち切るために、紹介された会社の口コミや評判をインターネットで調べてみました。

口コミや評判をネット調査
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すると、某大手口コミサイトでのその会社の評価は、星5中で星3という評価がなされていました。

そして私はそこで、更なる驚愕の事実を知ることになるのです。

驚愕の事実を知る
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なんと、そこの評価サイトのレビューの中に、春日のフルネームと全く同じ名前のアカウントで、星5の評価をするレビューを見つけたのです。しかも、そのレビューに対するコメントも全てが星5、逆に星5以外のコメントがありません。
他にも星5のレビューはあれど、やっぱりそのレビューに対しコメントを書いている人は極端に少ないんです。つまり共感者がいない星5のレビューばかり。

逆に星1のレビューも多く存在しており、しかもその内容の多くは…

「メンターに騙された。」
でした。

メンターに騙された
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私はその後、メンターとの連絡を絶ち、自分の力だけで就職活動を再開させました。
ですが、これから出る社会の暗部を垣間見たようで、未来に向かい就活する気持ちは重くなり、深い溜息が洩れました。

他人を盲信して生きるのは危険です。
皆さんも気を付けてください。

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