【怖い話|実話】短編「荷台の手」人間が一番怖いと思う話(滋賀県)

滋賀県:荷台の手
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投稿者:マカロンプーちゃん(40代/女性/会社員)
体験場所:滋賀県K市 某ラーメン店

私が高校2年生の頃、滋賀県K市のラーメン屋さんでアルバイトをしていた時の話です。

その頃、私は学校が終わると、ほぼ毎日デパートの中にあったラーメン屋さんでレジ打ちや接客のアルバイトをしていました。

店の前のスペースには、デパートの利用客が休憩できるように椅子が置いてあり、毎日色々な人に利用されていました。

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バイトを始めてから1年半ほど経った時のことです。

バイト仲間と店長が唐突に妙なことを聞いてきたんです。

「マカロンプーちゃんさ、年上の知り合いとかいる?」

私は変なことを聞くなと思いながらも「いない」と答えました。

すると店長もバイト仲間も「…そうか。」と首を捻るだけだったのですが、私の方がよっぽど首を捻りたくなるほど、その質問の意図が理解できませんでした。

それから数週間ほどして、またバイト仲間と店長から、

「マカロンプーちゃんさ、トイレまで行って帰ってきてくれない?」

と、また訳の分からない要求をされ、さすがに今度はその理由を聞いたのですが、二人とも何も答えてくれず、

「とにかく実験だからさ、往復するだけ。お願い。」

と頼まれ、私は言われるがまま訳も分からずにトイレに向かったんです。

トイレに到着し、もちろん用もないので直ぐに店に戻ると、バイト仲間も店長も眉をひそめて困った顔でこう言うんです。

「もしかしたら君、年上の男性に付きまとわれてるかもしれない。」

唐突にそんなことを言われ、私は訳が分からず一体どうゆう意味なのか二人に尋ねました。

すると二人はさり気なく目配せして、店の外にいる人を私に知らせてきたのです。

そこには、全く知らない男性が一人で椅子に座っていました。

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何となく気味が悪くなって、二人に詳しい話を聴いてみると、

「いつも同じ時間になると、あの男の人が店の前の椅子に座って君のことをずっと見ているんだ。しかも君がトイレや休憩で店を出ると、君の後を付けるようにあの男性も動き出すみたい。」

と、下手な怪談話よりもよっぽど怖いことを言うんです。

もう一度、さりげなく男性の顔を確認してみましたが、やっぱり知らない人です。

その顔を見てると、急に背筋がゾワッと寒くなるのを感じました。

それからは、私もその男性に注意しながら仕事をしていたのですが、確かに男性は常に私のことを見ていて、店を出る時もさり気なく後ろを確認すると、やっぱり私の後を付けて来ていることが分かりました。

トイレに行くと、その男はトイレから少し離れたところに立っているし、休憩時間に雑貨屋に行けば、男はその雑貨屋が見える場所にいて、店に戻るとまた店の前の椅子に座ってこちらを見ているんです。

数日の間、バイト仲間にも男の動きを観察してもらうと、私が雑貨屋から店に戻って仕事を始めると、男は雑貨屋に戻り、私が買った雑誌や雑貨を買い漁っていることも分かりました。

それは一日の中の一時的な間ではなく、男は私が帰る閉店まで、その行為を続けているのです。

余りにも気味の悪いその行為に、私は為す術なく恐怖を感じていました。

すると危険を察してくれた店長が、警備員にその男のことを相談してくれて、警備員から男に声を掛けてもらったんです。

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1回目の声掛けは「失礼ですが、何をされているのですか?」等といった簡単なものでしたが、効果があったのか、男は直ぐに店の前から姿を消しました。

ですが、ホッとしたのも束の間、翌日にはまた男は現われ、いつものように私に対するストーカー行為を続けるんです。

見かねた店長が警備員に詳細を説明して、男性に厳しく注意してもらい、それでもストーカー行為を辞めない場合は、こちらは警察に届けを出す意思があることを伝えてもらうようにお願いしました。

そして警備員による2回目の声掛け。

厳しく注意を受けた男性は、その日も直ぐに店から姿を消しました。

警察に届けるとまで言われ、さすがに男も諦めたのだろうと、その日は久しぶりに安心して閉店まで働くことが出来たんです。

その帰りのことです。

店が終わって家に帰ろうと、私は暗い駐輪場に自転車を取りに向かったんです。

自転車のハンドルに手をかけ、ステップを外そうといつも通り自転車を前に押しました。

ですが、全く自転車が動きません。

「あれ?どうして…?」

何度押してもグッと後ろに引き戻されてしまうので(どこか引っ掛かってるのかな?)と思い、後ろを振り向くと…

両手で自転車の荷台を掴む、例のストーカー男がいたんです…

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私は恐怖で声も出ず、ただひたすら自転車のステップを外そうと前に押すのですが、

「なんで?なんで?」

と、男は荷台を掴んだまま、小声でそう呟いています。

余りにしつこい男に、さすがに私も恐怖以上の怒りを感じ、振り向くと同時に、

「なんなんですか!離してください!」

と強く訴えました。

すると、男は更に怒気を含んだ声でこう言いました。

「なんで?なんで警察呼ぶとか言ったの?何考えてるの?」

余りに一方的な男の言い分に私は気味が悪くなり、

「怖いからとにかく離してよ!」

と大声で言うと、男は更に大きな声で、

「お前に手は出してないだろ!見てるだけで警察呼ぶとかふざけてんのか!!」

と、あまりに自己中な言葉を言い放ったんです。

その大声で、近くにいた警備員が慌てて駆け寄って来たのですが、男はその姿を見て逃げるように去って行きました。

それからは警察の方が店の周りを巡回してくれるようになり、男の姿を見かけることはなくなりました。

ですが、またいつどこであの男が現れるか…

こちらが気付いていないだけで、どこかからまた見られているのかもしれないと思うと怖くて、バイトを続けている間は不安で仕方ありませんでした。

「お前に手は出してないだろ!見てるだけで警察呼ぶとかふざけてんのか!!」

見てるだけなら相手には関係ないと言う男の倫理観に、人間の持つ狂気を垣間見た出来事でした。

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