【怖い話|実話】短編「赤いオーブ」心霊怪談(千葉県)

【怖い話】心霊実話|短編「赤いオーブ」千葉県の恐怖怪談
投稿者:メイユイ さん(20代/女性/フリーター)
体験場所:千葉県にある公立高校

これは私が高校2年生だった頃に体験した話です。

当時、私が選択授業で専攻していた音楽の授業は、学年全員合わせても女子9人男子2人の計11人の生徒しかいなく、こじんまりとしていましたが、みんな仲が良く、いつも和やかな授業でした。

受け持ちの教員は20代半ばの女性教員で、近くにある古い学校から赴任してきたばかりの先生でした。優しくて面白い人だったので、私たち生徒もよく懐いていたのを覚えています。

ただ、そんな先生に対して私が唯一抵抗を感じていた点が、『霊が見える』というところでした。

初めの内は先生がそんな話をしていても、私たちを怖がらせるためのちょっとした冗談だろうと笑っていました。

しかし、先生の話を聞くうち、次第にそれが冗談ではないことが分かってきたのです。

というのも、先生が以前に勤めていた学校は、私たち生徒の間でも『古くて怖い』と度々話題に上がるような学校で、悲しいことに数年に一度は自殺してしまう生徒が…といった具合で、決して明るいイメージを持てるような学校ではありませんでした。

そんなこともあってか、先生がその学校で体験したという心霊話は、私たちにとって妙に信憑性が高いものに感じられたのです。

先生の話によると、その学校に勤めていた頃、残業で遅くなったある夜、帰る前に一通り校内の見回りをしていると、一人の女の子が残っていたので声を掛けたんだそうです。

でも先生はすぐに(コッチの人じゃない)と感じ取り、走って逃げ帰ったそうなのですが、家に帰るとお母さんに、

「…その子、どこで拾ってきたの?」

と言われゾッとしたそうです。

それ以来、車のボディの反射にその子の姿が写って見えたり、部屋の窓が勝手に開いたりと、今も継続してその女の子にまつわる心霊現象が繰り返されていると先生は言うんです。

その話を聞いた時、私たちは怖さ半分、面白さ半分でワイワイ盛り上がっていたのですが、それは突然起こりました。授業ではいつも先生を囲むようにして生徒の机を半円状に並べて座っていたのですが、突然その真ん中の机が大きな音を立てて倒れたんです。机が勝手に倒れるなんて、普通には考えられません。でも、起きたんです。教室中がパニックになりました。

先生に憑いているという女の子が、正に証明されたように思えたんです。

それからというもの、しばらく音楽室での授業は謎のすきま風や奇妙な音などに悩まされましたが、半年も経つ頃には次第にみんな慣れていったんです。

そして2年生最後のテストの日のこと。
といっても音楽の授業ではこれといったテストもなく、私たちはその時間を持て余して音楽室でダラダラしていました。

すると先生がせっかく時間があるんならと、以前みんなで合唱した時の映像を鑑賞しようということになり、みんなでモニターの前に集まってワイワイとその映像を見ていたんです。

すると突然、

「オーブだ!」

と、一人の生徒が叫びました。

映像には、確かにぼやぼやとした光の玉のようなものが映っていました。

「何かに反射してるのかな?」
「光が射し込んでるだけだよ」

と、最初の内はみんな半信半疑でしたが、しばらく映像を見ていると、光の玉はストーブの下に潜り込んだり、生徒の足を縫うようにして動いたりと、まるで意思を持つとしか思えない光の動きに、私たちは驚きと興奮を覚え、いつの間にか見入っていました。
それまでも授業中にポルターガイスト現象のようなものはありましたが、目に見える形で何かが現れたのは初めてだったので、怖いというよりも興味の方が勝ったんだと思います。

しばらくの間、オーブは出たり消えたりを繰り返していましたが、3回目に現れた時のそれは、黄色い姿をしていました。

(色を変えられるのか!)と私が感心していると、

「緑になったね」

と、隣の男の子に嬉々として話しかけられ、

「え!?」

と、私とは違う色に見えているのかと思わず大きな声を出して驚いてしまいました。

すると、みんな堰を切ったように口々に、

「さっきと変わらないじゃない!」
「青にしか見えないでしょ!」
「私も黄色に見えるよ!」

と、それぞれが別の色に見えると騒ぎ出したのです。

こんなに面白い授業はないとばかり全員が興奮していると、

「赤に見える。」

と、誰かが突然そう言いました。

流石にこればかりは、

「なんか怖いー!」
「赤って、それ大丈夫なの?」

と、みんなに突っ込まれていましたが、ビデオが終わったタイミングでちょうどチャイムが鳴り、私たちは興奮冷めやらぬまま音楽室を後にしました。

同じクラスメートの3人で教室に戻る最中も、私たちはどうしてもさっきの映像のことが気になり、オーブについてスマホで検索してみたんです。

すると、人によってオーブの色の見え方が違う事はたまにあるらしく、

『黄色に見えると金運アップ!』
『緑は健康運が良くなる予兆で…』

といった様な、子供だましのおみくじみたいなことが書かれていて、私たち3人は思わず笑ってしまいました。

ただ、「赤」だけは別だったんです。

『赤に見えると、大きな病気、怪我をする。更には死に至る場合もある。』

そう書かれていました。

もちろん信憑性のある情報とは思いませんでしたが、ここは親切心で、赤に見えたと言う子に一応注意しておいてあげようということになったのですが、そこで私たちはお互いの顔を見合わせ青ざめました。

「…誰…だっけ?」

赤に見えると言った子が誰だったのか、3人とも全く覚えていないんです。

女の子の声だったことは間違いないと思うのですが、1年間一緒に音楽の授業を受けてきた11人の内、女子は9人。その内の3人がここにいるのに、その声が誰のものだったのか、私たちの誰も分からないんです。

この妙な違和感を言葉に出来ず、私たちは思わず押し黙ってしまいました。

その日の掃除の時間、私たちは居ても立っても居られず、私たち以外の音楽のメンバー1人1人に聞いて回りました。

でも結局、他の子たちも口を揃えて、

「私じゃないよ、でも誰か他の女子が『赤』って言ってたよね」

と言うばかりでした。

それから1週間後に春休みに入りました。
3年に上がると、私と一緒に音楽を選択していたクラスメートの1人は英語を選択してしまい、音楽を選択する生徒は10人になってしまいました。あの先生も結婚を機に休職してしまい、受け持ちは他の教員になりました。

その頃には、もう誰もオーブの話はしていませんでした。
高校生は飽きるのが早いです。

3年生になってからの1年間は、全く心霊現象は起きませんでした。
やっぱりあの先生が音楽室を去ったからなのでしょうか。

先生は、今は旦那様と娘さんの3人で新居で暮らしているそうですが、何も災いが起きていない事を願っています。

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