【怖い話】実話怪談|短編「墓地を見下ろすビル」福岡県の心霊体験談

投稿者:ののはな さん(40代/女性/自営業/福岡県在住)
体験場所:福岡県F市の某ビルマンション

今から17年ほど前の話です。

友人が引っ越しをしたということで新居に遊びに行きました。
引っ越し先は、福岡県F市の中心部から、徒歩約10分程度の距離にある高層ビルマンション。建築後まだ間もなく、ビルの外観は近代的で綺麗なものでした。

高層ビルマンション
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しかし、そのビルを見て私にはある疑問が浮かびました。
友人はフリーターです。学生ではないので実家からの仕送りもありません。
目の前にある高級感漂うそのビルマンションの家賃など払えるのだろうかと。

「素敵なビルだね、でも家賃が高いんじゃないの?」
友人に会うなり、私は思わずそう尋ねました。

すると友人は私を部屋に案内しながら、
「見れば分かるよ」
と意味ありげに笑いました。

重厚な扉を開いて部屋に入ると、そこにはインテリア雑誌に掲載されていそうなオシャレな部屋が広がっていました。
友人はインテリアにあまり気を使うタイプではありません。ですが、部屋自体から醸し出されるオシャレな雰囲気に、思わず私はテンションが上がりました。

「ね、来てみて」
部屋の中をきょろきょろと見まわしていた私に、友人が手招きをしました。

招かれた先は、浴室でした。
ゆったりとした浴槽は、新品のような美しいアイボリー色をしています。

「ほら。」
そう言って友人は、浴室の外窓を開きました。

窓の外を覗くと、そこにはびっしりと墓石が並んでいました。

窓の外の墓地
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友人の家は5階でしたので、墓地を見下ろす形になります。

「こういう理由で、家賃は安いんだよ」
と、友人は笑います。

友人は心霊の類を信じない人間ですので、墓地のことなど全く気にならないようでした。
ですが、私は霊感などはないものの、自分に見えないからといって存在しないものではないと思っています。
なので、墓地を見下ろすその景色に、少々抵抗を感じました。

若干の気味悪さを覚えたまま、その日は軽くお茶を飲んで帰宅することにしました。

それから約1週間後のことです。
その友人から電話が掛かってきました。
当時は今のようにSNSが当たり前ではなかった時代なので、お互いの近況は直接電話でやり取りしていました。

「ね、聞いてほしいことがあるんだけど」
友人の声は少し興奮しているようでした。

「この家に引っ越してから、部屋の写真を撮る度に、真っ赤に写るんだけど」
聞けば、友人は『墓地を見下ろすビル』ということで、何か霊的なものが撮影出来たら雑誌などに投稿しようと目論み、部屋の中を数回撮影したそうです。

通常のフィルムカメラで撮影して現像に出した場合、もしも何かが写っていると店側の方で処分される可能性があるため、ポラロイドカメラを使用して撮影したとのことでした。
そうして撮影した写真を確認すると、全ての写真が真っ赤に染まってしまったそうです。

「フィルムの保管場所が悪かったんじゃない?」
と私は言いましたが、友人は納得しない様子で唐突にこんなことを言い出しました。

「実はお風呂に入っていたら、すりガラスの向こうを黒い影が歩いて行ったんだよね」

ガラスの向こうを通る影
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友人の部屋は5階です。人影が通り過ぎる事なんか絶対にありません。
なぜそれを先に言わないのかと言いたい気持ちを抑えて、続きを聞くと、

「あと、部屋の湿度がやたら高い気がする。最近、頭が痛い日が多い」
それは単に欠陥住宅なのではないのか、と思いつつ、翌日友人宅へ行くことを約束して電話を切りました。

翌日、友人宅のビルに向かうと、ビルの前で友人が待ち構えていました。
友人の唇はピクピクと震えていました。

何事かと聞こうとした私の言葉を遮り、
「もういい。引っ越す。部屋に戻りたくない」
と語気を荒げて言い、ビルをチラリと振り返りました。

「言わない方がいいし、聞かない方が言いと思う。言葉にしてはいけない気がする。」
友人はそう言って、それ以上は何も語りませんでした。

その後、友人は新しい家が見つかるまで知人の家に泊まったりしていました。
新しい住まいが見つかった際に、私は再び遊びに行きましたが、その頃からお互いの生活サイクルの変化などもあって、その友人とはだんだんと疎遠になっていきました。

そしてつい最近になって、私はかつて友人が住んでいたそのビルを、仕事で訪ねることになりました。
ビルには事務所なども入っており、その事務所に用事があったのです。

正直「行きたくないな」と思っていましたが、仕事ですから仕方ありません。

ビルへ行く前日、私はふと恋人に「昔こんなことがあってね」と、そのビルと友人の話をしました。
すると、話を聞いている間に彼の表情がふと曇りだし、こんなことを言ったんです。

「もしかしてそのビルって、あの角にある、今は1階に雑貨屋さんが入っているやつ?」
その通りでした。
私が詳しい場所を説明したわけでも無いのに、彼はそのビルをピタリと言い当てたのです。

「何か知っているの?」
と聞いた私に、彼はこう言いました。

「もう20年くらい前になるかな。僕の友達が、そのビルに引っ越したんだよね。僕も何回か遊びに行ったけれど、なんとなく嫌な感じがして、長居はできなかったな…。でも、その時に聞いたんだよ、その友達に…」

古い話を思い出すように視線を上へ向けて、彼は続けます。

「そのビルは裏も墓地だけど、真ん中も墓地だったらしいんだよ。」

そう言われて、ふと思い出しました。
友人が住んでいたビルを上から見ると、建物が「口」の字型に建っていて、中心部には不自然な空間がありました。

何か植物を植えるでもなく、少し古い石が置かれていて、ビルは洋風なのに、なぜかその空間だけ和風の様相で、不思議に思ったことを覚えています。

「墓地を囲むように建てたんだね。今は裏の墓地だけが残ってるみたいだけど。」

墓地を囲むマンション
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どういう経緯でそのような場所にビルを建設したのかは分かりません。
ですが、そこに住んでいたという彼の友人も、精神状態が不安定になり引っ越したそうです。

その際、彼の友人も、
「入浴する度に、黒い影が覗き込んでくる」
と訴えていたそうです。

そのビルに長年住んでいる人もいるようですので、相性とかもあるのかもしれません。
ただ、私はもう近付きたくありません。

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