【怖い話】実話怪談|短編「車の下の花束」愛知県の心霊体験談

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投稿者:KANAO さん(34歳/女性/主婦)
体験場所:愛知県名古屋市の某マンション
愛知県:車の下の花束

これは、私の母が若い頃に体験した話です。

母は昔、愛知県の名古屋市のマンションで一人暮らししながら、OLとして働いていた時期がありました。

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その日もいつも通り仕事を終えて、車で自宅のマンションに帰宅した時のことです。

今では珍しいのかもしれませんが、そのマンションの前に広がる駐車場は、所有者ごとに区分けされておらず、空いていればどこでも好きな駐車スペースに停めても良いというものだったそうです。

大体はマンションの建物に近い場所から埋まっていき、夜遅く帰った時は、大分離れた場所の駐車スペースしか空いていないのだそうです。

ですが、その日はタイミングが良かったのか、マンションから大分近い駐車スペースが一つ、不自然な感じで空いていました。

「ちょうど誰かが出たばかりだったのかな?」

運が良かったと、母はハンドルを切りそこに車を停めたんです。

車を降りるとすぐ目の前がマンションです。

中に入るとちょうど一階に停まっていたエレベーターに乗り込み、母は自分の部屋の階のボタンを押しました。

ゆっくりと扉が閉まり、エレベータは上昇を始めました。

当然ですが、マンションの上りエレベーターは、指定したフロアまで、ほとんどの場合ノンストップで直行し、途中のフロアで止まることはまずありません。

「なんか今日の帰宅はすごくスムーズだな」

そんな些細なことを喜びながら、母はエレベーター内部にある階数表示で自宅フロアに到着したのを確認しました。

よし降りようと足を一歩前に進めようとした瞬間、母は違和感を感じました。

エレベーターが止まらないんです。

それどころか、エレベーター内部の回数表示を見ると、更に上へ上へと登っているのが分かります。

ボタンは今も母の部屋の階が光っているのに、それなのりエレベーターは上昇を止めません。

「え!?どうして!?」

母は慌てて他の階のボタンや開閉ボタンを押しましたが、エレベーターは何の反応も示さずどんどん上昇していきます。

「ちょっ…と、え!?」

何が何だか分からず呆然とする母を乗せ、エレベーターがゆっくりと停止したのは、最上階の屋上に到着した時でした。

『チン』

と、いつも通りの音を合図にエレベータの扉が開きます。

目の前には夜の屋上が広がっていました。

柵で周囲をぐるっと囲まれたこの屋上には、母も数えるほどしか来たことがありません。
ましてや夜の屋上など一度も来たことがありませんでした。

初めて見たせいもあってか、夜の屋上は思っていた以上に薄暗く、どことなく不気味で寂しい感じが漂っているように見えました。

一瞬ブルッと身震いした母は、急いでエレベータで自分のフロアの階数ボタンを押した後、『閉める』ボタンをカチャカチャ何度も押しました。

扉が閉まり下降を始めたエレベーターは、今度は正常に母の自宅フロアで停止しました。

急いでエレベーターを降りて部屋に入った母は、落ち着いてさっきの現象について考えました。

ですが、結局いくら考えてみても、『たまたま起きたエレベータの誤作動』、という以外に、結論はありませんでした。

多少は不思議に思ったものの、原因の分からない済んでしまったことなので、母もあまり深くは考えることもなかったようです。

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翌朝、いつも通り起床し、慌ただしく朝の準備をして部屋を出ます。

急いでエレベータに乗り込み、マンションを出て車に向かいました。

昨日のエレベータの一件などは既に忘れていたそうです。

足早に駐車場へ向かい、昨夜車を停めた場所の手前まで行って、急に母の足が止まりました。

「え?嘘…どうして…」

昨夜は暗くて気が付かなかったのですが、母の車の下に、複数の花束が置かれていたんです。

それは明らかにお供え用の花束でした。

まるで誰かがそこで亡くなったように見えます…

「なんで、こんなものが…」

誰かの質の悪いイタズラだろうと思った母でしたが、青ざめた顔でしばらく立ち尽くしていると、丁度そこを通りかかった同じマンションの住民であろう男性が、

「昨日、そこで人が死んでるんですよ。」

と、眉をひそませながら言うんです。

「え?それ…どういうことですか?」

母は理解しきれない様子で、さらに詳しく男性に聞きました。

すると、前日の日中、母が仕事に行っていた間に、若い女性がマンションの屋上から飛び降りたのだと言うのです。

その女性が落ちた先が、母が車を停めていた場所なのだと…

すぐに警察や救急車が駆け付け付けましたが、女性は即死。

母が夜遅く帰る頃には既に現場処理も終わっており、そこに近所の住民たちが花を手向けていたとのことでした。

「そんなとこに車を停めちゃうなんて…」

終始眉をひそめながら話していた男性は、そう言い残してその場を去りました。

昨夜の帰宅時、不自然にその駐車スペースだけが空いていた理由を知り、母は自責の念と申し訳なさでその場に呆然と立ち尽くしました。

その時、昨夜のエレベーターでの出来事を思い出したんです。

母の部屋のフロアを通り過ぎ、エレベーターが向かった先はマンションの屋上。
そこは女性が飛び降りた場所だということに気が付いたんです。

急に冷たい風が吹いたかのように、母は背筋がスッと冷えるのを感じました…

そしてあることが頭をよぎります。

(もしかしたら、自殺した女性は私を導いていたのかもしれない…)

当時、母は人間関係に悩み、死にたいと思うことも度々あったそうなのです。

その感情が、母をこの駐車スペースに引き寄せ、マンションの屋上まで自殺した女性に案内させたのかもしれない。

そう思った母は、急に死ぬことが、と言うか、度々死のうと思っていた自分のことが怖くなったと言っていました。

その後、転職を機にそのマンションは引っ越したそうなのですが…

あれから何十年と経った今でも、あの出来事を思い出すとゾッとすると言います。

それと同時に、

「あの時、本当に死ななくて良かった」

と、母は私を見ながら語っていました。

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