【怖い話|実話】短編「少女の笑顔」心霊怪談(千葉県)

投稿者:Megumi.tbik さん(29歳/女性/主婦)
体験場所:千葉県K市

今からお話することは、実際に私が体験したことです。

それは8年前の出来事でした。
当時、私は21才。
夫と結婚1年目の新婚生活を送っていました。

私たちが住んでいたのは千葉県K市の住宅街の端っこ、目の前には椎茸の森がある3階建て新築アパート(私たちが住んでいたのは2階)、ペット可の物件でした。

ペット可の物件ということで、私たちは引っ越し早々、犬を飼い始めることにしたんです。
犬種はキャバリアで、元気でやんちゃな男の子。名前はテルです。

愛犬キャバリア
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お散歩は、朝と夕方の2回。
基本的に住宅街の方へは行かず、自然豊かな森の小道を散歩することが多かったです。
ですが、日が暮れた森は真っ暗で、若い女性が一人で犬を連れて散歩するには危険なので、夕方の散歩はいつも日暮れ前に終わらせていました。

愛犬テルが生後8か月になった頃、私のお腹には妊娠5か月の赤ちゃんがいました。
妊娠すると同時に私は勤めていた運送業を退職し、専業主婦になりました。

夫の仕事は忙しく、朝5時には家を出て帰りの時間はバラバラ、だいたい夜9時頃の帰宅でした。
そんなこともあって、当時の私には愛犬テルとの日常が唯一の救いであり癒しでした。

愛犬癒し
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そんなある日、昼寝から目を覚ますと、テルが散歩に行きたそうな素振りをしています。
外を見るともう真っ暗で、どうやら長い時間眠ってしまっていたことが分かりました。
とにかく私は慌てながらテルの散歩に出ました。

森の小道はすでに真っ暗だったので、その日は滅多に行かない住宅街の方を散歩することにしました。近所の方々との付き合いも良好でしたので、何の心配もなくテルと歩き始めたんです。
しかし、寝すぎてしまったため、あまり散歩に時間もかけられません。少々近道をしようと、私は住宅街の方でもいつもなら通らない道の方へテルを誘導しました。

住宅街の散歩道
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テルは相変わらず電柱を見つけると、クンクンします。
テルがクンクンしている間ちょっぴり暇を持て余した私は、ふと目の前の一軒家の二階に目を止めました。

二階のその部屋は、電気が消えたまま窓が開いており、白いカーテンがふわふわと風に揺られていました。

二階の部屋
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最初は気が付かなったのですが、よく見ると暗い部屋の中で誰かがこちらを見ています。

おかっぱ頭の女の子
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女の子でした。
髪の毛は黒く、ショートカット(オカッパ)、目はくりくりしていて、小学3年生くらいの可愛い子でした。

(きっと犬を見ているんだろうな~。)
と思った私は、女の子に向かってニコッと笑ってみせました。
すると、女の子も笑顔を返してくれたのです。

私は何だか胸がちょっぴりほっこりしました。
ですが、次の一瞬でそんな気持ちも消え去りました。

女の子の笑顔は止まることなく私に向けられています。
ただ、その笑った口元が、ゆっくりゆっくりと広がっていくんです。
口の端が裂け始めても、それでもなお広がり続けるんです。
剥き出しになった歯はいつの間にか歯茎までも露出し、まるで口裂け女のような顔になっても女の子の口は広がり続けました。

裂ける口
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最初は極度の緊張と動揺で、私はそれを見つめることしかできませんでした。
しかし、その子が人間ではないと確信すると同時に芽生えた恐怖心が私を動かしました。

電柱をクンクンし続けるテルを引っ張り、お腹に赤ちゃんがいるにも関わらず、私は大急ぎで自宅へ走りました。

ダッシュで帰宅
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テルも私もハアハアと息を切らせながら、ようやくアパートに戻り着きました。

(・・・何!?今の女の子…。)
と、まだ消えぬ恐怖の中で、突然携帯電話が鳴りました。

弟から着信
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弟からでした。
直ぐに電話に出た私は、弟の要件そっちのけで、今見たことを矢継ぎ早に説明しました。
でも、最初は弟も信じてはくれなかったのですが…

電話の最中、バルコニーに続くリビングの窓がいきなり
『バンッバンッバンッ!!!』
と誰かに叩かれたように響き渡りました。

叩かれる窓
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怯えたテルが吠えています。

私は恐怖のあまりパニックになり
「窓が叩かれてる!」
と弟に助けを求めました。

「え?本当だ…なんか、テルの吠え方が違う…。」
と、弟もようやく違和感を感じたようなのですが、電波が悪くなったのか、そのまま電話は切れてしまいました。何度も掛け直してみたのですが全く繋がりません。

繋がらない携帯
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なぜこのタイミングで電波が悪くなるのか、出来すぎたそのトラブルも気味が悪かったのですが、

(とにかく、今は絶対に窓を開けてはダメ)

気の遠くなるような静けさの中、私はその直感に従い、窓には近付かないようにそのまま夫の帰りを待ちました。

その後、特に何も起きることはなったのですが、数時間もの間、緩むことのない緊張した時間を過ごした私は、帰宅した夫の姿に本当に安堵したことを覚えています。

私は幼い頃からよく不思議な体験をする人間でしたが、これほどハッキリとした恐怖を体験したのは後にも先にも初めてのことでした。

あの女の子は散歩中の私に付いてきてしまったのでしょうか?
それとも犬が物珍しかったのか…?

全てが謎のままでしたが、それ以上詮索しようとは思いませんでした。

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