体験場所:栃木県日光市
私が小学生の頃、学校の遠足でのこと。
行先は日光でした。
私の地元では、日光は近場の有名な観光スポットだったので、既にほとんどの子が一度は家族と訪れたことがありました。ですので、特に目新しい場所ではありませんでしたが、友人がみんな一緒となると話は別です。バスの中から賑やかで、みんなのテンションはMAX。私も仲良しの友達と同じ班になれたこともあって、とても楽しみにしていました。
東照宮に到着して、クラスごとの集合写真を撮った後、東照宮の周りをガイドさんに連れられグルッと一周。わいわい楽しく見学しました。
そして待ちに待った班別行動の時間です。
班ごとのグループで中禅寺湖を周って、最後は華厳の滝に集合という指示でした。
中禅寺湖も華厳の滝も県内有数の心霊スポットであるのは有名な話で、クラスメイトはみんな「心霊写真撮ろうぜ!」とはしゃいでいました。ちょうどその頃、テレビで沢山の心霊番組が放送されていたことも私たちの心を駆り立てたのかもしれません。
いざ歩き出してみると、中禅寺湖の周りは湿気や雑木林が多いためか、少し冷やりとして、心なしか空気感が違うように感じました。晴天の空の下でしたが、雑木林の中がとても暗かったのが印象的でした。
班別行動では必ず写真を撮ることがルールになっていて、先生から各班にカメラが渡されていました。学校に帰ってからの総合学習の授業で資料として使うので、面白い写真ではなく、しっかりと中禅寺湖や東照宮を写真に収めるよう言われていました。
私達の班も撮影ポイントを探しつつ、しっかりと課題に取り組みながら歩いていました。
ある雑木林の前に来た時、私は同じ班の中でも一番仲の良かった友人とツーショット写真を撮りたいと思い、班の他の子に頼んでシャッターを切ってもらうことにしました。
その友人とは普段から、教室移動や外で遊ぶ時も手を繋ぐことが多かったので、私は今回の写真も手を繋いで撮ろうと咄嗟に思い付きました。
シャッターが切られる瞬間、私は手を伸ばし友人の手を握りましたが、急だったためタイミングが合わなかったのでしょう。友人の手は開いたままで撮影されてしまいました。
開いたままの友人の手を私が握っている状態の写真。思っていたのとは違ってしまいましたが、それでも私は写真を撮れたこと自体が嬉しくて、そのことは特に気にしていませんでした。
中禅寺湖を巡った後、全ての班が無事に華厳の滝に到着。
「ここでも心霊写真が撮れるんじゃないか?」と言って一生懸命に写真を撮っている他のクラスメイトに混じり、私たちも最後まで躍起になってパシャパシャとカメラのシャッターを切っていました。
学校に戻るとカメラは先生が回収しました。
現像できるのは二週間後、その日をみんな楽しみにしていました。
二週間後、写真が現像されたので、班ごとに分かれて写真を確認していました。
「半目じゃん!」
「ぶれてる!」
なんてケラケラ笑いながら思い出に浸っていると、例の雑木林の前で撮った私と友人のツーショット写真が出てきました。
私にとってどうしても撮りたかった一枚だったので、私は嬉しくって写真を手に取り見てみると・・・
腕が5本ありました。
私と友人、二人の腕の数を合わせて4本。
それとは別に、もう一本、誰かの腕があります。
白くすらっとした大人の女性の腕に見えました。
その奇妙な腕を辿った先にある手の平を、私が握っていました。
「心霊写真撮れた!」
怖いというよりも心霊写真が撮れた興奮で、私たちは他のクラスメイトや先生に写真を見せて回ったのですが、
「ありえないでしょ」
「誰か後ろにいたんでしょ」
と言われ、一蹴されてしまいました。
結局その写真は私が持ち帰り、心霊番組に送ろうと手紙を書いて封筒に入れ、机の中にしまっておきました。
そのまましばらく放置してしまい、「あれ?そういえばあの写真どうしたっけ?」と急に思い出して机の中を確認してみたのですが、封筒ごと消えていました。
机の中を整理した覚えはないし、捨てた記憶もありません。机の後ろに落ちてないかと見てみましたが、やっぱり出てきませんでした。
一体あの写真はどこにいったのか?
今も謎のままです。
余談ですが、その写真が撮れた後、一緒に写っていた友人のおじいちゃんが不慮の事故で亡くなりました。写真が関係しているのかは分かりません。
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