【怖い話|実話】短編「山道のカーブ」心霊怪談(宮崎県)

【怖い話|実話】短編「山道のカーブ」心霊怪談(宮崎県)
投稿者:小鞠のあ さん(30代/女性/パート)
体験場所:宮崎県都城市山之口 青井岳

私が20歳になったばかりの頃のお話です。

私は専門学校を卒業後、宮崎県宮崎市のお隣にある都城市に就職で引っ越しました。

初めての仕事は覚えることも多く、あの頃とても大変だったことを今も覚えています。

仕事が終わると私は宮崎市内にいる友人のところによく遊びに行っていました。
専門学校時代は宮崎市の学校に通っていたため、宮崎市には友達が沢山いたんです。

その日も仕事を終えて、とても疲れていましたが、宮崎市にいる友達の所に行く約束をしていたので、私は1度家に帰って支度をして、それから車で家を出ました。

疲れのせいで少し面倒という気持ちもあり、何より運転の心配もありましたが、「明日は休みだし、ゆっくり行けば大丈夫か。」と、いつものように宮崎市に向かって車を走らせました。

山之口から田野町まではカーブが多い山道で、それに街灯も少ないため、普段の私なら少し気味悪がりながら運転していたのですが、その日は仕事終わりで明日が休みという解放感もあり、少しウキウキした気持ちで車を走らせていました。

山之口を抜けて青井岳に入る頃でした。
ふと何かの気配を感じたんです。

車を走らせていると、道の端々に一瞬だけ何か白っぽいものが映るような感じがして、その気配のせいなのか私は少し体が強張るのを感じました。

【怖い話|実話】短編「山道のカーブ」心霊怪談(宮崎県)-1
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「気のせい、気のせい。」

そう自分に言い聞かせるようにして音楽のスイッチを入れました。

その後も目の端々に映る白っぽい何かは、青井岳を抜けるまでの間、まるで私の車に着いて来るかのように現れ続けました。

青井岳を過ぎてようやくその気配が消えた頃、やっと肩の力が抜けて、改めて今の初めての体験を「何だったんだろう…」と振り返る余裕が出来ました。が、結局考えて分かることでもないので気にするのはやめ、そのまま宮崎市に向けて車を走らせ続けました。

それから間もなくして、「もうすぐ田野町だなー」と、最後のカーブを曲がろうとハンドルを傾けた時でした。

突然目の前が真っ暗になったんです。

【怖い話|実話】短編「山道のカーブ」心霊怪談(宮崎県)-2
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「え!?」と何が起きたのか考える間もなく次の瞬間、

「危ない!!!」

【怖い話|実話】短編「山道のカーブ」心霊怪談(宮崎県)-3
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という大きな声が聞こえたと同時にハンドルがグッと引き戻されました。

すると目の前の暗闇はいつの間にか晴れていて、その変わり見えてきたのは、今まさに山の斜面への突撃をギリギリのところで回避している最中の光景でした。

【怖い話|実話】短編「山道のカーブ」心霊怪談(宮崎県)-4
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すぐに車のスピードを弛めました。が、その場で車を停車させるのも嫌で、私はそのままゆっくりと車を走らせ続けたんです。

ハンドルを握る手が震えるのを抑えながらも、心臓が爆発しそうなぐらいドキドキしているのが分かりました。

「あのままカーブを曲がっていたら、山の斜面にぶつかっていたよね・・・。」

他にもいろんなことが頭をよぎり、「最後のカーブを曲がった時、私はハンドルを切り過ぎていたのか?」「それに一瞬だけ目の前が真っ暗になったのは何?」「ハンドルを引き戻したのは誰!?」等と、色々な疑問が頭の中を駆け抜けましたが、今はそれよりとにかくその場から少しでも早く離れたいと、私は必死で車を走らせ続けました。

そのまま友人宅に到着し、私は友人と会うや否や堰を切ったように先ほどの体験を話しました。

その時になってやっと思い出したのですが、私は1人で車を走らせていたはずなのに、あの時「危ない!!!」と声を掛けてくれた誰かがいました。
あれは一体誰だったのか?もしかしたらその存在がハンドルを引き戻してくれたのか?

なぜそんなふうに思うのかと言うと、あの声のことを思い出すと怖いというよりはどこか安心するような落ち着くような、それになんだか聞き覚えのあるような、そんな声だったと感じるんです。

あれから時が経ち30代になった今も、あの体験については全く謎のまま。

ただ、もしもあのまま山の斜面に突っ込んでいたら、私は既にこの世にいなかったのかもしれない・・・そう思うと、今でもゾクリと寒気がしますし、あの時聞こえた声の主に感謝するばかりなのです。

とても怖くて、不思議な体験でした。

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