体験場所:京都府Y市の某団地
これは息子が小学1年生の時の話です。
当時住んでいた京都府Y市の団地で、ある晩、私はリビングでクイズ番組を見ながらくつろいでいました。
すると突然、私の後ろの方で”ドーン”という、重たい何かが倒れたのか落ちたのか、大きな音がしました。
私は(息子が遊んでいるうちに何か壊してしまったな)と思い、溜息混じりで後ろを振り返ると、そこには膝まづいて震えている息子がいました。
さっきの大きな音は、息子が膝から崩れ落ちた音だったのです。
それまで何事もなくおもちゃで遊んでいたのに、急に体調でも悪くなったのかと心配になり、私は駆け寄りました。
「大丈夫?どうしたん?」
と声をかけると、息子は体全体をガクガクと震わせながら、
「怖い…怖い…怖い…怖い…」
と、繰り返し言っていました。
「えっ!何?何が怖いん!?」
と問いかけても、息子はずっと「怖い怖い怖い」としか言いません。
テレビに映っているのはクイズ番組ですし、特に怖い映像が流れていたわけでもありません。
何が怖いのか訳が分からいまま、私は震える息子の体をさすり続けました。
次第に息子の震えも治まり、もう一度、
「何が怖かったん?」
と問いかけると、息子は暗い玄関の方を指差し、
「おばあちゃん・・・」
と言いました。
リビングのドアは開けたままで、暗い玄関が見える状態でした。
ゾクリと背中に悪寒が走りました。
その晩は、主人は出ており、家には息子と私の二人だけでした。
「おばあちゃんなんかいいひんやん」
と私が言っても、息子は玄関のほうを指差して、
「おばあちゃん、おばあちゃん」
としか言いません。
私の母親も主人の母親も健在ですが、一緒には暮らしていないため、『息子のおばあちゃん』がそこにいるはずもありません。
だったら息子に見えているのは誰なのか…
ふと、そう言えば、今晩主人が出掛けた先は、知り合いのお通夜であることを思い出しました。
(まさか・・・その人の霊!?)
私は息子が指差している誰もいない暗い玄関を見つめながら、頭のてっぺんからつま先まで、ゆっくりと悪寒が走るのを感じました。
心臓がバクバクと鳴り始め、私の心は恐怖心に侵されていきます。
息子の震えは治まって落ち着いているようでしたが、今度は私のほうが怖くなり、平常心で息子をなだめることも出来なくなっていました。
このままこの部屋に息子と二人でいるのがあまりにも怖かったので、実家に行くことも考えましたが、暗い夜道を30分かけて車を運転するのは、恐怖に駆られたその時の私には難しく、とにかくまずは誰かに来てもらおうと実家の親に電話をしました。
震えは治まっていたものの、私にしがみついたままの息子を抱きかかえながら、母親に電話をし、事の経緯を説明しました。
「息子が急に膝から崩れ落ちて、怖い怖いって言いながら震えだしてん。何が?って聞いたら玄関を指さして”おばあちゃん”って言うねん!」
母親にそう説明していると、落ち着いていた息子の体がまたガタガタと震え始めました。
「あかん!話してるだけでも〇〇(息子)が震えてきた!!とにかく今すぐきて!!!」
とは言ったものの、そのまま電話を切ってしまうのは心細かったので、こちらには父親に向かってもらいながら、私は母親との電話を継続しました。
ですが、事の経緯を話すだけでも息子が震え出してしまうので、その話は一切口にせず、私は母親と他愛もないことを電話で話しながら父親の到着を待ちました。
父が到着し、主人の帰りを一緒に待ってくれている間に、次第に息子も私も落ち着きを取り戻していきました。
ようやく平常心を取り戻した頃、主人が帰宅しました。
私は早速、先ほどまで息子と私が体験していた状況を主人に説明し、
「もしかしたら〇〇(息子)が見た『おばあちゃん』って、今日あなたが行ったお通夜で、お亡くなりになった方なのかもしれないって、気になって・・・」
そう言って、今晩のお通夜の故人の方について尋ねました。
ところが、返ってきた答えは、亡くなったのは主人の友人の”父親”という事でした。
「”おじいちゃん?”って、こと…?」
じゃあ、息子が見た『おばあちゃん』とは一体誰だったのか・・・
結局なにも分からないまま今に至るんです…
因みに、高校生になった息子に、あの時の恐怖体験のことを聞いてみたのですが、何も覚えていないようでした。
不思議な体験は息子が1歳ぐらいの時にもありました。
他所の家の薄暗い裏口を指さして、「わんわん、わんわん」と言っていたんです。
もちろんそこに犬はいませんでした。
そんなこともあって、(この子には霊感のようなものがあるのでは?)と、当時は思っていましたが、今では霊を見ることは全くないようです。
幼い子は霊を見やすいとよく言われますが、本当なのかもしれません。
コメント