【心霊スポット】山梨県|富士の樹海の怖い話「友人の異変」実話怪談・短編

山梨県:富士の樹海
image photo
投稿者:komaki さん(40代/女性/看護師)
心霊スポット:山梨県『富士の樹海』

私が大学生の時に体験した出来事です。

友達のAちゃんとBちゃんと私の3人で、山梨県某所にキャンプに行ったことがありました。

当日は天気が良く、道も空いていた為、

「予定より早くキャンプ場に着いちゃいそうだから、どこか寄り道して行こうか?」

とAちゃんが提案しました。

「そういえば、この近くに有名な心霊スポットがあるよ!ちょっと寄ってみない?」

そうBちゃんが言うので、Aちゃんも私も怖いもの見たさで賛成したのです。

Bちゃんの案内で少し車を走らせ到着した場所は、自殺の名所として有名な『富士の樹海』でした。

時間はまだ昼間でしたので、いくら富士の樹海と言えど暗いことはないだろうと思っていたのですが、いざ樹海に足を踏み入れると、不気味に生い茂った木々のせいか辺りは薄暗く、私達は鳥が羽ばたく音にすらビクビクしながら歩いていました。

「あまり奥まで入ると出てこられなくなるかもしれないよ?」

と、私はだんだん不安になって言うのですが、

「山道から外れなければ大丈夫でしょ。ていうか死体とか見つけたら怖いけどw」

と、二人は本当に遊んでいる感じで樹海の奥へと進んでいきます。

ゴミが落ちているのを見つけると、

「これってもしかして自殺した人の持ち物だったりしてw」
「それマジでこわーい!」

と言って、笑ったりしているのです。

どことなく不謹慎に感じながらも、二人に付き合うような形で30分程の散策を済ませ、私達は駐車場に戻って車に乗り込みキャンプ場に向かったのです。

ところが、車に乗ってすぐにAちゃんが、

「なんか調子悪いんだ…」

と、一言だけ口にしたっきり、ほとんど会話に参加しなくなったかと思うと、しばらくしてブツブツと何か独り言を話し始めたのです。

【心霊スポット】山梨県|富士の樹海の怖い話「友人の異変」実話怪談・短編-画像01
image photo

「Aちゃん大丈夫?なんか、ちょっとおかしいよ?」

と、心配になって声を掛けると、

「え?なんのこと?私ずっと普通にしてたけど?」

と、独り言を言っていたことも覚えていない様子でした。

キャンプ場に着くとAちゃんはすぐにテントに入り、眠ってしまったのか、夕飯も食べず、その日はそのまま出てくることはありませんでした。

翌朝、Aちゃんの様子がやっぱりおかしいので、私達は早々に帰宅することにしました。

ですが、その日を境にAちゃんは大学に来なくなってしまったのです。

心配になってAちゃんの携帯に連絡してみると、電話に出たのはAちゃんのお母さんでした。

お母さんの話によると、キャンプから帰って以来、Aちゃんはずっと部屋に籠ったまま、意味不明な独り言を呟きながら、ノートにひたすら『友』と『ヒ』という文字を繰り返し書き続けていると言うのです。

その異様な行動に、私もAちゃんが心配になり、少し言い辛かったのですが、電話口の向こうで困り果てているお母さんに伝えました。

「富士の樹海に肝試しに行ってから、Aちゃんの様子がおかしくなったみたいで…」

するとAちゃんのお母さんは驚いていましたが、しばらく考え込んでから、

「…お寺に連れて行きます」

と言いました。

責任を感じた私も、自分も一緒に行かせて欲しいと伝え、Aちゃんとお母さんに同行することにしたんです。

お寺へ行く当日、数日ぶりに会ったAちゃんは完全に別人のようでした。

【心霊スポット】山梨県|富士の樹海の怖い話「友人の異変」実話怪談・短編-画像02
image photo

食事をほとんど取っていないのか、身体は痩せ細り、髪もボサボサ、その上ずっとブツブツと独り言を喋っているのです。

よく聞くと、

「僕はこんな家に生まれて来るんじゃなかったんだ」
「死ぬしかないんだ」

そんなことをずっと呟いているのです。

目的のお寺に到着すると、Aちゃんのお母さんは早速、

「娘が富士の樹海から帰ってきてから、ノートにずっと『友』と『ヒ』という文字を書き続けているんです…」

と住職に伝え、ノートを手渡しました、

すると住職が、

「これは『死』でしょう。文字は崩れていますが、『死』という文字を綴ったものです。」

【心霊スポット】山梨県|富士の樹海の怖い話「友人の異変」実話怪談・短編-画像03
image photo

それを聞いて私達は絶句しました。

言われてみると、それは確かに『死』という文字でした。
余りにも乱雑に書かれた『死』という文字が、『友』と『ヒ』、別々の二文字に見えていたんです。

ノートに無数に殴り書かかれた『死』の文字を見て、私は改めて背筋がゾッと冷たくなりました。

その後、富士の樹海での私たちの行動を一部始終説明していると、話し終えぬ内に住職はゆっくりとお経を上げ始めました。

私もAちゃんのお母さんもひたすら手を合わせました。

そしてお経が終わると、

「…あれ?私、なんでお寺にいるわけ?」

と、急にAちゃんが声を上げたんです。

さっきまで虚ろだった瞳には精気が戻っています。

Aちゃんのお母さんも私もようやく人心地着けて、Aちゃんにこれまでの話を聞きました。

Aちゃんは、ここ数日間の事を全く覚えていませんでした。

富士の樹海を出てからの記憶がなく、Aちゃんは今その瞬間に初めて目が覚めた感覚らしく、ずっと森の中を彷徨い歩く夢を見ていたそうです。

【心霊スポット】山梨県|富士の樹海の怖い話「友人の異変」実話怪談・短編-画像04
image photo

その後、お寺の住職から、

「安易に心霊スポットなんて行くものではありませんよ。いろいろな思いが残されている場所だからね。それをこうして持ってきちゃうこともあるんだから」

と教えられ、私達はとても反省しました。

それからAちゃんは元気になり、しばらくして大学にも通えるようになりました。

私達は遊びで心霊スポットに入ってしまいましたが、軽率な行動だったととても反省しています。

それにしてもAちゃんがブツブツ呟いていた独り言、

「僕はこんな家に生まれて来るんじゃなかったんだ」
「死ぬしかないんだ」

それに、ノートに永遠と綴られた『死』という文字。

これってやっぱり、Aちゃんには自殺者の霊が憑いていたという事なのでしょうか?

コメント

タイトルとURLをコピーしました