【心霊スポット】沖縄県|中城高原ホテルの怖い話「分かれ道」実話怪談・長編

投稿者:みゃむみゃむ さん(29歳/女性/フリーター)
心霊スポット:沖縄県中城村 中城高原ホテル

これは私が10代の時、沖縄に住んでいた頃、有名な心霊スポットの廃ホテル『中城高原ホテル』で体験したお話です。
厳密には廃ホテル内で体験したわけではないのですが…

その当時、私の周りでは心霊スポット巡りが流行っていました。
ですが、私はそのような場所に行くことを祖母から固く止められていたんです。

祖母は、いわゆる『視える人』でした。
若い頃にはそのような修行をしていたとも聞いたことがあります。
そんな祖母から「危ない場所には行ってはダメだよ」と、昔から言われ続けていた私は、自然とそういった場所には近付かないようになっていました。

多感だった10代のある頃のことです。

当時、私はお付き合いしていた彼とお別れして、とても落ち込んでいる時期がありました。
そんな時、友達に「気分転換にドライブに行こう」と誘われたんです。

正直あまり気乗りはしませんでしたが、(ずっと家で塞ぎこんでいてもしょうがないしな…)と思い、そのドライブに行くことにしたんです。

ドライブに同乗したのは、私を誘ってくれたA子、A子の彼氏のB君、その友達のC君、それと私を含めた計4人でした。

当日、皆の時間の都合もあり、結局全員が集まったのは夜中の0時近くでした。

この時間からどこに行くのかみんなで話し合っていると、

「近くにある廃ホテルはどう?」

という話になりました。

その廃ホテルとは『中城高原ホテル』という、その見た目から、別名『チャイナタウン』とも呼ばれる沖縄屈指の心霊スポットでした。

中城高原ホテル
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「そういう所に行くのはあまり好きじゃない」

と私は言ったのですが、私以外の3人は行く気満々。

「もし無理なら車で待ってるといいよ」

とA子が言うので、

「…まあ、それなら。」

と、私も渋々頷いてしまいました。

その頃、よく心霊スポットに行っていたA子は、普段から私がそういう場所を好まない事を知っていたので、

「珍しいね、怒ると思ってた」

なんて言ってましたが、

(最近嫌な事ばかりだったし…私を誘ってくれたA子やみんなが行きたいならしょうがないか。おばあちゃんには黙っておこう。)

と、私は軽い気持ちで了解してしまったのです。

すぐに出発し、会話しながら車に揺られていると、あっという間に中城高原ホテルの近くまで来ていました。

するとA子が、

「この時間だと、抜け道から歩いて行くのが早いよ」

と言うので、その場所に車を止め、残りは歩いて行くことになりました。

みんなが車から降りる中、

「それじゃあ、車で待ってるね」

と、私はみんなを送り出したのですが、夜中に車の中で一人という状況が逆に怖くなり、結局すぐにA子に電話して、

「やっぱり付いて行ってもいいかな…」

と、私も一緒に行くことにしました。

車から降りてみんなと合流すると、

「それじゃあ、ここを進んで行くから足元気を付けてね」

と、B君が指差したのは真っ暗な茂みの中。

私は来たことを内心後悔していましたが、

「大丈夫だよ!私、何回も来たことあるし、そばを離れないから」

と、A子が声を掛けてくれたので、私は決心して歩き始めたのです。

人一人通るのがやっとの茂みで覆われた砂利道を、私達4人は一列に並んで進みます。
B君を先頭に、私、A子、C君と続き、街灯もない中、みんな携帯で足元を照らしながら歩きます。

「このまま真っ直ぐ行くと、あと10分くらいで門に着くから」

とA子は言っていたのですが、しばらく行くと、左右に分岐した分かれ道が現れました。

茂みの中の分かれ道
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「おいA子、右か左、どっち行くんだ?」

と、B君が聞くと、

「あれ?分かれ道なんかあったかな~?」

とA子が言います。

「右に行ってみようよ。あっちに建物みたいなの見えるから。もし間違ってたら戻ればいいし。」

とC君が言うので、私たちはそれに従いました。

ですが、進んでも進んでも砂利道と茂みが続くだけ。

10分以上歩き続けたところで、

「やっぱりさっきの分かれ道、左だったんじゃない?」

と私が言って、一度さっきの分かれ道に戻ることにしました。

でも、戻ってみると、おかしなことに気が付いたんです。

分かれ道からは10分以上歩き進んでいたはずなのに、引き返してみると、ものの1~2分で分かれ道に戻り着いたんです。

「あれ?なんで?もっと先まで歩いたよね?」

「うん…なんだか怖くなってきたよ…」

と、私とA子が気味悪そうにしていると、

「一度通って道に慣れたから、早く戻れたんだよ…」

と、C君が自分にも言い聞かせるように言うので、私もA子も無理にそう納得することにしました。

不安を押し殺し、次は左の道に進みます。

先ほどの道より少し道幅が広くなった気がしました。

すると突然B君が、

「ねえ、さっきから時々笑ってるけど、A子とCは何の話してんの?」

と言うのですが、確かに私やA子は「怖いね」「雰囲気やばいね」なんて言葉を口にすることはありましたが、決して笑ってなんかいませんし、ましてやC君に至っては全く声を発していませんでした。

私たちを怖がらせる為に言っているのかと思い、

「B君、そういうこと言わないで。怖いから。」

私がそう言って怒ると、

「え、いや、俺が怖いんだけど…」

と、B君が言います。

「もうやだ!早く行って帰ろう!」

と、私は恐怖と怒りに動揺し、B君を追い越し先頭を早歩きで進んでいきました。

すると道がさっきより広くなっていきます。

「この道…だったかもね」

C君の言葉に、「そうだね。」とみんなが同意し、ようやく私たちは安堵しました。

すると、突然空気の変化を感じたんです。

季節は夏。
深夜なので風があれば多少は涼しく感じたかもしれませんが、あくまで蒸し暑い夏の夜です。
それなのに、空気が異様に冷たくなったのを感じたんです。

異様に冷たい空気
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私は内心、(これ、本当にヤバくない?戻った方がいいよね…)と思ったのですが、そんなことを言って、いたずらにみんなを怖がらせるのも気が引けて、結局そのまま先へ先へと歩き続けました。

すると、すぐに砂利道が開けてきました。

「良かった。もう着くだろ。」

と言うB君の言葉に、みんなが安心したのが分かりました。

私もホッと胸を撫でろした次の瞬間、

『○▼※△☆▲※◎★●』

耳元で何か声がしました。

私はB君が話しかけてきたのだと思い、

「え?なんて言った?」

と聞き返しました。

すると、

「誰も、何も言ってないよ・・・ちょっと!怖いって!」

と、みんなが言うのです。

(じゃあ、さっきの声は…)

背中がスーッと冷えていくのを感じました。

(やっぱり戻った方がイイよね…)

と、心では思うのですが、やはりみんなのことを思うと言い出せず、

「…気のせい、かな?」

私はそう言って、無理に足を前に出し続けました。

すると、今度は右手に大きなお墓が見えてきました。
(※私の地元では、お墓はとても大きな作りをしています)

それと向かい合う左手には、白い廃車が茂みに突っ込んでいます。

「こんな場所に車なんてどうやってーーー」

と、みんなに話しかけた時です。

耳元ではっきりと、

『帰れ』

と聞こえたのです。

耳元で男の声
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その瞬間、私はなりふり構わず走りだし、来た道を全速力で戻り始めました。

そんな私を見て、みんなも慌てて一緒に走り出します。

明らかに4人の誰のものでもない声でした。

40~50代の男性の声。

私の許容範囲を超えた恐怖に、心臓は飛び出そうなくらい動悸が早まり、頭にはガンガンと金づちで打たれたような痛みを感じます。

(早く戻らなきゃ!!帰らなきゃ!!)

みんなが「どうしたの!?」と声を掛けてくるのもお構いなしで、私は猛ダッシュで車まで戻りました。とにかく一刻も早くこの場所から離れたかったのです。

急いでみんな車に乗り込むと、

「早く出して!!」

私は大声でそう言いました。

走る車の揺れに身を任せ、そのまま私はしばらく口もきけずにいました。

その後、ようやく頭痛が収まってきた頃、自分が感じていた一連の体験をみんなに説明しました。

「嘘…でしょ…?」

みんな唖然として驚いていましたが、やっぱりあの道すがら、みんなも冷たくなっていく空気の変化は感じ取っていたようでした。

その後、無事に家に帰り着き、何事もなく数日が経った頃、別に暮らしている祖母から急に電話がありました。

「あんた…行ってはいけない所に行ったねえ。」

祖母からの電話
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「・・・え!?」

私は、祖母にはもちろんのこと、親にもあの日のことは話していませんでした。というか言えませんでした。
それなのに、突然そう切り出した祖母の言葉に、私は恐怖に似た驚きを感じました。

前述したように、祖母には霊感めいた強い力がありました。それが全てを見通したのでしょう。
その後、祖母の話はこう続きました。

「でも良かったね。あんたのご先祖様が守ってくれたんだよ。」

予想外の祖母の言葉に私は、

(じゃあ、あの時の声は…)

あの時、『帰れ』と私の耳もとで聞こえた声は、ご先祖様の声だったんだ、そう思ったのです。

「ごめんなさい。もう二度と行かないよ」

私はそう祖母に約束し、電話を切りました。

後日、A子にもその話をしました。
その際に聞いたのですが、あの日の体験を不思議に思い続けていたA子は、後日、再びあの場所へ別な友人達と行ってきたのだそうです。

(懲りないなー)と私は内心思いながら、A子からその時のことを聞いて驚きました。

あの分かれ道が、無かったそうなのです。

それじゃあ、私たちは一体どこを歩いていたのでしょう?

結局、私たちが廃ホテルにも着けぬまま、砂利道の先に見つけた分かれ道については、何も分からないままです。

あれから10年以上たった今でも思うのですが、もしあの時、「帰れ」という言葉に従わず、そのまま進み続けていたら…一体、私たちはどこに辿り着いたのでしょう?

あの時のことを思い返す度に、今でも背筋がスーッと冷たくなります。

私はあれ以来、心霊スポットと呼ばれる場所には絶対に近付かなくなりました。

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