【怖い話|実話】短編「同居人」心霊怪談(高知県)

【怖い話|実話】短編「同居人」心霊怪談(高知県)
投稿者:さんちゃん さん(30代/女性/事務)
体験場所:高知県高知市の某アパート

当時、私が住んでいた部屋は、こじんまりとした古いアパートの一室でした。

諸事情により仕事を辞めて無職になり、金銭面で前のアパートに住み続けることができなくなり、仕方なくそのアパートに引っ越してきたのです。

これから新しい職を探して再スタートするつもりでした。

それまでの短い間だけ、そのアパートでやり過ごそうと思っていたのです。

入居したその日から、ちょっとした違和感はありました。

肩が重くなったり、片頭痛がしたり、とにかくずっと落ち着かないんです。

最初の内は、先の見えない今の状況にストレスを感じているのだと思っていました。

でも、日が経つに連れ、「もしかして、そういうことじゃない?」と思うようになってきたのです。

と言うのも、立て続けにおかしなことが起きたんです。

部屋で休んでいると、急に押し入れから「カタカタ」と音がしたことがありました。

ねずみでもいるのかと思って、確認のために押し入れを開けると、その音がピタッと止んだんです。

しばらくそのまま様子を見ていたけど、押し入れを開けている間は何の音も聞こえません。

だから気のせいかと思って押し入れを閉めました。

そしたらしばらくして、また「カタカタ」と何か音がし始めたのです。

すぐにまた押し入れを開け、今度は念入りに中を調べたのですが、そもそもそんな音がしそうなものなどどこにも見当たらないんです。

その出来事が、自分の部屋を薄っすらと気味悪く思い始めた最初の体験でした。

それから数日後のことだったと思います。

ソファーで寝ていたら、急に右斜め後ろから「おはよう」と声が聞こえたことがありました。

小学生の女の子みたいなトーンの高い声で、慌てて起き上がって周囲を見たけれど、ひとり暮らしの部屋には当然私以外に誰もいません。

幻聴まで聞こえてきたのかと、いよいよ自分が怖くなりました。

その後も、リモコンに触ってもいないのに急にテレビがついたり、逆に消えることもありました。

他にも、夜寝ようとしたら出した覚えのない布団が敷いてあったり、トイレで座っていた時に目の前の蛇口から急にちょろちょろと水が出始めたり、かと思ったら止まったり、不可解な出来事が連続しました。

結局、この一連の怪現象のせいで転職活動にもさっぱり身が入らず、このままでは仕事探しが一向に捗らないと、仕事が決まるまでは住み続けるつもりだったそのアパートを、私は1か月足らずで解約してしまったのです。

ただ、アパートを出たことは間違っていなかったと今でも思っています。

だって、そのアパートを出る時、お隣さんに聞かれたんです。

「あれ?さんちゃんさん(私)、一人で出て行かれるですか?」

その謎の質問に、私は一人暮らしだと答えたら、「あれ?小っちゃい子は?」と再び聞き返されました。

詳しく聞くと、どうやらお隣さんは私のことを子連れのシングルマザーだと思っていたようなのです。

お隣さんが言うには、私の部屋から子供の笑い声や泣き声が聞こえてくる事が度々あったらしく、しかも私が肩に子供を担いで歩いているところを見た、とも言っていました。

あのアパートの部屋にはどうやら同居人がいたみたいです。

私の他に、小学生くらいの子供が住んでいたのでしょうか…

お隣さんとの会話で、最後にスーッと寒気を感じたまま、私はそのアパートを後にしました。

そう言えば、一連のおかしな出来事も、考えてみると子供のいたずらみたいなものばかりだったなと、今でも思い出しては少しゾクリとしてしまいます。

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