体験場所:埼玉県吉川市の知人宅
これは私の友人の知り合いであるAさんのお話です。
現在Aさんは50代後半の女性です。
20代で結婚したAさんは、男の子2人のお子さんにも恵まれて、私の友人から見てもごく普通の幸せそうな家庭に見えていたそうです。
ただ実際は、Aさんは30代の後半頃から、1人の男性と不倫関係にあったそうなのです。

その男性というのは、Aさんの旦那さまとも知り合いで、家族ぐるみで付き合うほど仲が良かったそうです。
逆にそれもあってなのか、旦那さまにその男性との関係を不審に思われることもなく、上手く不倫関係を続けていたそうなのです。
そして一番驚くのは、Aさん夫婦の次男は、実はその不倫相手との間に出来た子供だったのです。

もちろん妻の不倫に気付いていない旦那さまは、自分の子供として疑うこともなく大事に育てていたそうです。
ただ、2人の子供の顔が似ていなかったので、気付かれるのではないかとAさんはかなり心配していたようなのですが、旦那さまが気付く様子は全くなかったそうです。
とても優しい旦那さまで、Aさんがイライラして八つ当たりしても怒る事もなく、いつも穏やかで、いい旦那さまだったそうです。
そんなある日、その旦那さまが大病を患い、闘病生活が始まってしまいました。
旦那さまは、辛く苦しい闘病生活でも弱音一つ吐かず、本当に強い人だったそうです。
そんな時でもAさんの不倫関係は続いていたそうなのですが、やはり家族の大切さに気が付いたAさんは、不倫相手との喧嘩も多くなり、だんだんと疎遠になり、ようやくお別れしたそうなのです。
その後、Aさんは献身的に旦那さまを支えて一緒に頑張ったそうなのですが、残念なことに、旦那さまは若くして他界してしまったそうなのです。
人望も厚かった旦那さまの葬儀は盛大に行われ、仏壇も立派なものを購入したそうです。

それから月日が経ち、自立した2人のお子様が家を出た頃のことです。
1人で住むには広すぎると、Aさんは今の家を売り、小さい家に引っ越すことにしたそうです。
引っ越し当日。
家具や荷物を運び出し、いざ仏壇を運ぼうと動かすと、仏壇が置かれていた裏の壁を見て、Aさんは恐怖ですくみ上がりました。
そこには、旦那さまの顔そっくりのシミが、くっきりと浮かび上がっていたんです。

壁のシミではあったものの、誰が見ても明らかに旦那さまの顔そのものだったそうです。
もしそれだけなら、優しい旦那さまが家族を心配して出て来てくれたのかな?とも思えるかもしれません。ですが、そうではないことは明らかだったそうです。
なぜならその表情は、あの穏やかな旦那さまからは想像できないほど、鬼の形相をしていたから。

怒りと恨みで引き攣った様な、生前には見たこともない旦那さまの恐ろしい表情。
Aさんはその壁のシミを見て察したそうです。
「ああ、夫は全て、気が付いていたんだ…」
Aさんは、旦那さまにバレずに上手く不倫をして、子供まで作っても、何食わぬ顔で周囲にはいい奥様で通せているつもりでした。
しかし、それは全部自分の独りよがりなのだと気付いたAさんは、そのシミの前で愕然と立ち尽くしたのだそうです。
私は友人からのこの話を聞いて、
「優しい旦那さまが、最後にAさんの思い上がりを正してくれたのかも…」
そんな風に感じたのですが、
「そんなわけないでしょ。最後まで嘘をつかれ続けた旦那さんは、表には出さずとも、実はAさんのことを物凄い恨んで死んでいったんだよ。」
と、友人は吐き捨てるように言いました。
やっぱりそうなのでしょうか?
最後まで旦那さまに隠し通したAさんのひどい嘘。それに対する怒りと恨みだけを、亡くなってから現世に現わす旦那さま。
だとしたらこれは、Aさんにとっても、旦那さまにとっても、行き場のない悲しい結末だと思いませんか?
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