体験場所:宮城県仙台市 某カラオケチェーン店
私が20歳の時、仙台市の専門学校に通っていた頃の話です。
学校帰りに同じクラスの友人A子と二人でカラオケに行こうということになり、A子の車で某カラオケチェーン店へ向かったんです。

店に到着し、受付を済ませて個室に入るなり、私たちはまず学校の宿題を済ませてしまおうということになりました。カバンから取り出したプリントをテーブルに広げ、二人で協力して宿題を進めました。
お腹が空いて注文したパフェを食べながら宿題に取り組んでいると、A子がとても不安そうな顔をしてこう言うんです。
「あ~なんか寒気がする。この部屋おかしい。空気やばくない??」
もともと霊感があるというA子は、部屋に入った時から何かおかしな感覚があったそうなのですが、私を怖がらせないために黙っていたと言います。
そんなことを話している時でした。
急に部屋に完備されているエアコンが勝手に動き出したんです。
季節は春で、エアコンは必要のない時期でした。
それが唐突に動き出したので、私たちも一瞬驚いたのですが、きっと部屋に人がいるのを感知して自動で動き出したのだろうと納得しました。
それでもA子が感じる違和感については引っ掛かったままでしたが、とりあえず私たちは気を取り直して再び宿題に取り掛かったんです。
すると今度は突然スピーカーから、
『ああああああああああああ…』
と、男性の様な低い声が部屋中に響いたんです。

「きゃーーーーーー!!」
私たちは抱きついて声を上げました。
まだ歌ってもいないので、マイクのスイッチはオフのままで機械の上に置かれた状態ですから、スピーカーから音が出ることは絶対に有り得ないはず。
もう私は居ても立っても居られず部屋から飛び出そうとすると、
「怖がらないで!部屋から出ると逆効果だから!楽しく歌って何も無かったようにするのが一番いいから!」
と、A子が言うんです。
急に逃げ出すと憑依される場合もあると言うA子のアドバイスを信じ、私たちは何も気にしていないフリをして歌い始めました。
その後は特に何か起こることはなかったのですが、部屋の壁に取り付けてある鏡を見てA子がこんな事を言うんです。
「この鏡、左半分が真っ黒で何も見えないけど、とっちゃん(私のこと)も分かる??」
そう言われて鏡を見たのですが、黒い部分なんて全くないし、何か変なものが映っているわけでもありません。私にはごく普通の鏡にしか見えませんでした。
それでもA子の言葉に私の恐怖心は余計に煽られ、カラオケ中、終始鳥肌が止まりませんでした。
ようやく制限時間の2時間が過ぎ、カラオケは終了。
部屋を出る時にホッと胸をなで下ろす私をよそに、A子が壁の鏡を外しているのが見えて驚きました。
「ちょっと、何し…」
と私が言い切る間もなく、A子は取り外した鏡を裏返しました。
鏡の裏には、お札が貼ってありました。

「やっぱりあった!この部屋で絶対なにかあったはずだよ!人が自殺したか、殺されたか、暴行があったか・・・」
そう興奮しながら話すA子の言葉に、私は一気に全身が総毛立ち、その後1週間は一人でトイレに行けなくなりました。
それ以降、そのカラオケ店へ行くことはなくなり、友人の誘いで一度だけ仕方なく訪れたことはあったのですが、その時は幸いなことに例の個室に案内されず、ホッとしました。
それから月日は流れ、専門学校を卒業して社会人となった私は、昨年になって偶然そのカラオケ店に久しぶりに訪れる機会がありました。
そこで「あっそういえば!」と、当時のことを思い出し、例の個室を覗きに行ったのですが…
個室には、立ち入り禁止の張り紙が貼ってありました。
店員さんに聞いたところ、新しいカラオケ機材を入れても音が出なかったり、マイクの調子も悪いし、エアコンも効かない為、その個室はもう使ってないのだそうです。
やっぱりその個室では、以前に何か事件があったのでしょうか?
知りたくもないので調べてはいないのですが…
皆さんもカラオケ店を訪れた際は、鏡の裏を一度確認してみて下さい。
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