【怖い話|実話】短編「物置の中」心霊怪談(三重県)

【怖い話|実話】短編「物置の中」心霊怪談(三重県)
投稿者:bob さん(30代/女性/主婦)
体験場所:三重県いなべ市

私の従姉妹であるA子が実際に体験したお話しです。

A子は小学校低学年まで不思議な体験をする事が多く、私もよくその話を聞いていました。

まだ物心つく前の幼い時には、仏壇の前で何やら話し声がすると思い叔母が見に行くと、A子が一人で仏壇を向いて、誰もいない虚空を見ながらお話をしていたそうです。

【怖い話|実話】短編「物置の中」心霊怪談(三重県)-画像1
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叔母はその不思議な光景に目を奪われていたそうですが、しばらく話したあと「あの写真の人が食べていいよってくれたよー!」と、仏壇にお供えしてあったお菓子を持ってきたそうです。

小学生の頃には、夜中の間中ずっと階段の上り下りを繰り返す足音を聞いた、とか、家族全員が寝静まった後に、自分の部屋の扉を「ドンドンドンドン!」と叩く音が朝方まで続いた、等々、数々の体験をしていたと聞いています。

しかし、成長するに連れそういった事も無くなり、中学校に上がる頃にはパタリとそんな経験をすることもなくなったそうです。

ただ、A子も社会人になり、そんなことも忘れかけていた去年、2021年の3月にそれは起こったそうです。

A子の家は、以前は1階にお爺ちゃんとお婆ちゃんが住んでいて、2階にA子と両親が暮らしていました。
ですが、ここ数年の間にお爺ちゃんとお婆ちゃんが他界し、1階はもぬけの殻となってしまいました。
その後、1階スペースをそのままにしておくのも勿体ないので、全体をリフォームして今度はA子の両親がそこで暮らすようになったそうです。
2階は古いままで、A子の寝室もそのまま残っていましたが、結局リフォームした1階の方が居心地が良く、A子も1階で過ごす事が多くなったそうです。

そんなある日のこと、朝起きたA子が2階の寝室から出ると、階段脇にある小さな物置スペースの扉が開いていたそうです。

【怖い話|実話】短編「物置の中」心霊怪談(三重県)-画像2
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それまで開いているところを見た事がない扉だった為、少しゾクッとしましたが、違和感を感じつつもA子は扉を閉め、そのまま仕事に向かったのだそうです。

その日、仕事から帰ったA子は母親に、

「あの2階の物置、今朝見たら扉が開いてたんだよねー」

と話すと、母親は驚いた顔で言いました。

「え?私も今朝開いてるの見たよ。だから閉め直しておいたんだけど、、」

建て付けのせいか、その扉はかなり固いらしく、勝手に開くなんて事はまず有り得いないのだそうです。
扉の外側にはフック式の鍵が付いていましたが、それを掛ける必要もないくらい固い扉なので、フックは常に外れたまま。
そんな使いにくさもあって、普段から誰もその扉を開けることはなく、家族の誰もその物置に何がしまってあるのか記憶にないのだとか。

今朝、開いていた扉をA子が閉め直した時も、やっぱり扉はかなり固く、半ば無理矢理ガッと閉め込んだほどで、それが勝手に開くなんて考えられない状態だったそうです。

それなのに勝手に開いていた扉・・・
2人は少し寒気を感じ、何となく黙り込んでしまいました。
2階はリフォームせず古いままの造りだったため、そんなはずはないと思いつつも、「隙間風…のせいかな?」と、その話は早々に切り上げたのだそうです。

ですが、翌日の朝のこと。
目を覚ましたA子が自室を出ると、また物置の扉が少しだけ開いているのが見えてザワザワッと鳥肌が立ったそうです。

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すぐにA子は母親の元に飛んで行くと、

「ねー!また開いてる!!!」

と、慌てて言ったのですが、それを聞いた母親はA子以上に青ざめています。

と言うのも、母親は昨日の夜、フックの鍵も掛けたそうなのです。
外側からフックを外さない限り、扉が独りでに開くことは絶対にないはずだったのです。

これはもう、扉の中に何かあるに違いない。
そう確信した2人は、一緒に物置の中を確認してみる事にしました。

恐る恐る物置の前に行くと、その少し開いた扉の隙間に指を入れ、ギ―っとゆっくり扉を開きました。
暗く狭い収納スペースに徐々に光が差し込むと、薄っすらと見えた奥の箱の中から、「コトッ」と、固いものが落ちたような音が聞こえました。

それは何年も出さなくなっていた、雛人形の箱だったそうです。

2人は全身にブワーー!!っと鳥肌が立ち、目を合わせると、

「この子たちが、出してって、言っていたのかも…」

そう確信したのだそうです。

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その後、雛人形を綺麗に掃除し、再び桃の節句の頃にはまた飾るようにしました。

すると、今のところ扉が勝手に開くことはなくなったそうです。

1階をリフォームしたことで、家族がみんな1階にいる事が多くなり、楽しそうしているのが羨ましかったのかなぁーと、A子は言っていました。

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