
体験場所:青森県 某小学校
これは僕の体験ではなく、友人Tの体験になります。
前もって述べておきますと、当時は私もTも年端もいかない小学生で、この話も何か勘違いだろうと思われるかもしれません。
でも、Tは面白半分で嘘をつくような人ではなかったし、僕自身もTの不可思議な行動を見ていたので、信憑性のある話だと思っています。
当時、僕達は小学陸上クラブというのに入っていて、毎年恒例の地区大会が近づくと放課後グラウンドで練習することになっていました。
その日も僕とTは練習に出ていたのですが、グラウンド内の別々の場所で練習をしていました。
走り込みの合間、ふとTに目をやった時でした。
ちょうどTが誰もいないグラウンドの隅の方へ小走りで駆けて行くのが見えました。
「ははぁん、あいつ練習キツイからサボり始めたな〜」
そう思って、Tの様子をニヤニヤして見ていたら、いきなりTが振り返ったかと思うと、全速力でこっちに向かって駆け寄ってきたんです。
僕「なした?オメ。練習キツイんだば少し休んでろじゃ。あんまりムリすんなって」
T「ち、違うわ。さっきよ、グラウンドの隅見たら、みんな輪になってるから、練習終わりのミーティングやってるなって思って、オラも駆け寄ったらよ、、、」
僕「??は?まだ終わりじゃねぇし、それにグランドの隅の方なんか誰もいなかったべさ」
T『、、、。ボロボロの、、、ボロボロの服着た子供達が輪になってたから、ヤバいと思ってこっちに走って逃げてきた。まだトリハダおさまらねぇ。つか、後ろ見れねぇ。何も(誰も)いねえよな?』
僕『、、、あぁ。いねぇよ。オメ、今日はオラと一緒にいろ。あっちさ行くな。』
Tの恐怖体験はそれっきり。その後の練習では何も起きることなく、大会まで無事に終えることが出来ました。
それから何年か経った後のこと。私は急に当時のことを思い出し、なんの気なしに母親にあの小学校やグラウンドのことについて聞いてみました
僕『あぁ、そういえばよ、あの小学校のグランドって昔なんかあったの?例えば校舎が立つ前は墓だったとか?』
母『あぁ?別になんもないべ。あ~、だども、なんか昔、戦時中あそこ死体置場だったって聞いたな~。本当かどうか分からんけどな。なにや?なんかあったのか?』
僕『、、、へ、へぇー。いやぁ、なんでもねぇわ。』
母『まぁでも、昔はグラウンドの隅の方から観音様の場所さ繋がってて歩いて行けてたからなぁ。ほら、あの踏切んとこの霊場。今は行けなくなってるみてぇだけど、でも気味悪かったなぁあの道。昼間でも薄暗くてよ。』
少し気味の悪い話を母から聞かされて、ゾクッと背筋が凍りついた感覚を今でも思い出します。
あの日、友人が見たものは一体何だったのか。
件の小学校は今現在は過疎化と少子高齢化のため廃校になりました。
ただ、あのグラウンドだけはまだ残っているそうです。
寂しげな校庭の夕暮れ時、あの場所では今でも子供達が輪になって遊んでいるのでしょうか。
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