体験場所:岩手県内の友人宅
友人のA子と、そのお姉さんが体験したお話です。
A子の家族はみんな霊感があるそうで、時々怖い体験談を聞かされます。
その中でも私が一番怖かった話です。
A子のお姉さんには、当時お付き合いしていた男性がいました。
とても良い人だったらしく、A子も家族もその男性の事を気に入り、家族ぐるみで楽しく過ごしていたそうです。
ですが、お付き合いも進み、徐々に彼の本性がチラチラと出てくるようになると、それがお姉さんを悩ませ始めました。
嫉妬や独占欲、毎日何をしているかチェックするような電話が頻繁にきたり、家に来た時はこっそり下着をチェックするなど…
お姉さんは凄く綺麗でスタイルもよくモテるため、彼の気持ちも理解はできますが、お姉さんからすると鬱陶しい存在になってしまったようです。
彼はお姉さんよりも10歳以上年上で、容姿も普通、すべて普通の男性。何故お姉さんと付き合うことになったのか疑問です。
そんな彼だから、せっかく付き合うに至った美女を離したくない気持ちも分かりますが、その行為はやり過ぎでした。
嫌われるのも当然かもしれません。
粘着質な彼の本性を知り、お姉さんが別れを考え始めた頃、彼は自分に対するお姉さんの態度の変化や、関心が薄れてきていることに気づき始めました。
彼と別れようか悩んでいたお姉さんは、A子や家族にも相談していました。
A子の意見も家族の意見も全員一致で「別れたほうが良い」との結論だったそうです。
ある日のこと。
お姉さんが自宅でくつろいでいると、ふっと『彼の匂い』がしたそうです。
お姉さんは(気のせいかな?)とも思いましたが、まだ別れていなかった彼の荷物が家にあったので、多分その匂いが風で流れてきたのだろうと考えました。
ですがその後、彼の匂いを感じることが徐々に増えてきたのです。
その匂いは、妹のA子も感じていたそうです。
ちなみに、A子はお姉さんとは別で暮らしています。
それなのに、どこからともなく漂うその匂いを不思議に感じていたそうなのです。
ある時、お姉さんが匂いについてA子に相談し、姉妹そろって同じ匂いを感じていることに驚きゾッとしたそうです。
もし仮に匂いの対象が亡くなった方のものならば、幽霊になって出てきたとも思えるのかもしれません。
ですが、彼は普通に生きています。
普通にお姉さんのところに遊びに来ては、普段と変わりなく接していたようです。
この匂いの事もあって、お姉さんにとって彼はますます悩みの種となっていったのですが、なかなか別れは切り出せずにいたそうです。
それからも匂いは続き、時には匂いが余りに強すぎて、寝ていても気が付いて起きてしまうようなこともあったそうです。
そんな事が頻繁に起こり疲れきってしまったお姉さんは、思い切って彼に『匂い』について聞いたのだそうです。
ですが、本人に自覚はなく、彼も訳が分からず驚いて困惑していたそうです。
その後も『彼の匂い』に悩まされ続け、お姉さんは日に日にやつれていきました。
お姉さんに比べると頻度は少なかったようですが、やはり妹のA子の方にも匂いは現れ続けていたようです。
そんな中、別れを切り出す決定的な事が起こりました。
その日もお姉さんは、不安を感じながら床に就きました。
すると、やはりいつものようにどこからともなく彼の匂いが漂い始めたそうです。
ですが、今回はそれだけではありませんでした…
彼の匂いと共に、彼自身が現れたそうなのです。
しかも彼はお姉さんの上に馬乗りになって、ギューッと首を絞めてきました。
そのままお姉さんはゆっくりと意識を失ったそうです。
翌朝、目が覚めたお姉さんは急いで鏡を見て確認したそうです。
「夢ではない…」
はっきりと首に残った絞められた痕を見て、お姉さんはしばらく呆然としていたそうです。
その朝、お姉さんは直ぐにA子のところへ行き首の痕を見せると、そのままA子の目の前で彼に電話し、別れを告げたそうなのですが…
これで匂いの怪現象も治まるだろうと安心しきった頃でした。
今度はA子ところに『彼の匂い』がやってきたそうなのです。
しかもそれは、これまで感じた事がない程、強い匂だったそうです。
どうして今度は自分なのか意味が分からず、A子は直ぐに『匂いの彼』に連絡したそうです。
ですが、相変わらず彼自身にも訳が分からないようで、決して意識的に何か念のようなものを飛ばしているわけではないと、訴えるばかりだったそうです。
その後、夜中にA子も彼に馬乗りになられ、両腕をがっしりと掴まれたそうです。
翌日、私が遊びに行った時、その話と一緒に腕を見せられました。
A子の腕には、本当に掴まれた手の痕が、くっきりと残っていました。
因みに、その後は徐々に彼の匂いが漂うことも減り、今では全く匂いはしないそうなのですが…
霊感が無い私にはとても信じられない出来事です。
生き霊って本当にあるんですね。
しかも生き霊を飛ばしている本人に自覚がないのでは対処のしようもないですし…
「知らないうちに、自分の生き霊もどこかに現れているのかもしれない…」
そう思うと、背筋がゾクッとしませんか?
コメント