【怖い話|実話】短編「ニューカレドニアのホテル」心霊怪談(海外・ニューカレドニア)

海外:ニューカレドニアのホテル
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投稿者:MARIA さん(39歳/女性/会社員)
体験場所:ニューカレドニア イルデパン島の某ホテル

30年ほど前、父、母、弟、私の家族4人でニューカレドニアに旅行に行った時の話です。
当時私は8歳でした。

宿泊したのは、白い砂浜と高い松の木で有名なイルデパン島にある、全室オーシャンビューが売りの古いホテルでした。

いつも宿泊の際には家族みんなで過ごせるようにと、2部屋取って繋げコネクティングルームにしていましたが、生憎そのホテルにはコネクティングルームがないということで、事前に旅行会社に連絡を取り、せめて隣同士の部屋にしてもらえるようにリクエストしていました。

しかし、いざチェックインしたところ、予約した2部屋は離れた位置にあり、改めて隣同士の部屋が空いていないか確認したのですが、既に他のお客様が利用しており用意できないというこでした。

仕方がないので、せめて廊下を挟んで向かい同士の部屋はないのか父が確認したところ、従業員の男性は少し困った顔をしながらこう言ったんです。

「空いていることは空いてるんですが、その部屋は通常は使用していない部屋でして…」

従業員用の部屋なのかと思いましたが、そういうわけでもないようでした。

とは言えお客様がどうしてもと言うならば、その部屋を案内することも出来ると言うので、何かあった時に部屋は近い方が安心だということで、その部屋に宿泊させてもらうことにしたんです。

【怖い話|実話】短編「ニューカレドニアのホテル」心霊怪談(海外・ニューカレドニア)-画像01
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部屋割りは、父と私、母と弟で一部屋づつとして、母と弟が普段は使用していないその特別な部屋に宿泊することになりました。

チェックイン後は、家族でホテルのプールや市内観光などを思いっきり楽しみ、その夜はクタクタに疲れ、私も父もぐっすりと眠りに就きました。

しかし、真夜中になって慌てて私たちの部屋に入ってきた母によって、父も私も突然起こされてしまったのです。

混乱している様子の母にどうしたのかワケを聞くと…

母も弟も、私たちと同じくその日は疲れ果てて、すぐにぐっすりと眠りに就いたそうです。

しかし怖い夢でも見たのか、弟がうなされる声を聞いて母は目が覚めたと言います。

枕元の電気スタンドを点け、眠っている弟を見ると、寝苦しそうにしてびっしょり汗をかいているのが分かります。

直ぐに起こしてお水を飲ませようと、お水を取りに冷蔵庫に行こうとするのですが、ベットの横に脱いでおいた靴が見当たらないそうなんです。(そのホテルにはスリッパの用意がなく、部屋の中でも自分の靴を履いていました)

不思議に思いながらも、決して広い部屋ではないので直ぐに見つかるだろうと辺りを見回すも、靴はどこにも見当たりません。

おかしいなと首を傾げながらも、とりあえず裸足でお水を汲みに行き、弟を起こしてお水を飲ませました。

ようやく落ち着いて、再びベッドに腰を掛けたところで母は驚いたそうです。

ベッドの枕元の辺りの壁紙に、飛び散った血のような痕がいくつも付着していたのです。

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寝る前まではそんな染みはなかったはずだと、母は興奮気味に話しながら、不気味だからちょっと一緒に見て欲しいとのことでした。

父も私もほとんど寝ぼけながら、母と一緒に向かいの部屋に移動すると、確かに言われてみれば壁一面に血が乾いた跡のような茶色い染みがいくつもあります。

それはまるで母のベッドを中心に飛び散る様に広がっていました。

「なんか…気味悪いね…」

「やっぱりこの部屋って…ちょっと…」

一瞬冷たい風が吹き抜けたように、シンッと部屋が静まり返りました。

すると思い出したように、

「あ!靴!靴はどこにいったんだろ…」

再び部屋の空気が流れ出すかのように母が大きな声で言いました。

靴なんかどこかで落としてしまうものでもないでしょうし、必ず部屋のどこかにあるはずです。

みんなで部屋中をあちこち探していると、

「あったぞー」

と、父が声を上げました。

靴は外のバルコニーにありました。

きちんと両足を揃え、外に向けられて並んでいます。

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やっぱり母が家のベランダでサンダルを脱ぐように、ここのバルコニーで間違えて靴を脱いでしまったのだろうと、父も私も笑っていました。

しかし、母にはバルコニーで靴を脱いだ記憶が全くないようでした。

「おかしいなぁ…」と言いながら、母は腑に落ちない様子でベランダの靴を履いた瞬間、「キャッ」と短い悲鳴を上げたんです。

母の靴は、まるで今海から上がってきたかのように、びっしょりと濡れていたのです。

もちろん母はその日、靴を履いたまま海になど入っていませんし、靴を濡らすような要因など一切ありませんでした。

「やっぱり…この部屋おかしいよ…」

母がそう言うので弟も怯えてしまい、その夜は父と私の部屋で家族4人で固まるようにして眠ったんです。

翌朝、フロントで昨夜の出来事を話すと、

「やっぱりそうでしたか。そういったことは今回が初めてではないんです。昔その部屋でちょっとした事件があって…それ以降、宿泊されたお客様から妙なことが起きると何度も聞いていたので、その部屋は普段は使わないようにしていたんです。」

と言われました。

だったら最初からそう言ってよって感じですが…

昔その部屋で一体何があったのか聞くと「詳しい事情は話せないけれど…」と前置きした上で、フロントの方が話してくれたのは、

「かつてその部屋にハネムーンのカップルが泊まったんですが、翌日…女性の方が亡くなっていたんです。」

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その詳細までは話してはくれませんでしたが、何だか後味の悪い気分でした。

殺人?事故?自殺?

かつてあの部屋で何が起きたのか、結局は謎のままです。

でも、あの部屋の壁に浮かび上がった血痕から察すると、やっぱり殺人事件だったのかもしれません…

でもそう考えると、びっしょりと濡れていた母の靴は、一体何を意味していたのか…

今思い出しても本当に気味の悪い体験でした。

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