【怖い話|実話】短編「置き去りの駐車場」心霊怪談(宮城県)

【怖い話|実話】短編「置き去りの駐車場」心霊怪談(宮城県)
投稿者:灰色の通勤者 さん(30代/男性/会社員)
体験場所:宮城県仙台市 国道沿いの月極駐車場

これは自分が20代後半の頃、宮城県仙台市で実際に体験した出来事です。
今でも「あれは何だったのか」と考えることがあります。

当時、自分は青葉区の職場に勤めていたのですが、仕事がとても忙しく、終業時刻が22時を回ることも珍しくありませんでした。

その日も残業で、会社を出たのは23時過ぎ。
私は会社近くの国道〇号線沿いに月極駐車場を借りていて、車で出社した日はそこに停めていました。車で出社した日でも、仕事で疲れた日は電車で帰ることもあったのですが、その夜は終電にも間に合わず、仕方なく私は車を取りに駐車場へと向かいました。

その駐車場は、以前はコンビニが併設されていて夜でも明るかったそうなのですが、数年前にコンビニが撤退して以降は、照明も最低限しかなく、夜にはほとんど人の気配もありません。ただ、私の場合どうしても通勤の利便性を考えてその駐車場を契約していました。

その夜は駐車場に着いた瞬間、違和感がありました。
いくら静かな駐車場とはいえ、いつもは遠くから車のエンジン音や信号音などの喧騒が聞こえてくるのですが、その夜は空気に音が吸い込まれたような異様な静けさでした。

妙な感じがした私は、車のキーを片手に駐車場の入り口で立ち止まり、周囲を見渡しました。
すると駐車場の一番奥、今は使われていない区画があるのですが、そこに人が立っているのが見えました。

最初は誰か人を待っているのかと思いました。
ですが、何か変なんです。私から20メートルほど離れたその一角は、街灯に照らされていて、人の輪郭だけはハッキリしているのですが、その服装とか表情がぼやけていて分かりません。濃い影といった感じです。

「こんばんは」

何を思ったのか私は思わず声をかけてしまったのですが、返事はありません。相手は微動だにせず、こちらを向いているのかも分からない。

不審に思いながら自分の車に近づこうとした瞬間、その人影が一歩だけ前に出たように見えました。
ただ、実際にこちらとの距離が縮まったわけではなさそう。それなのに、なぜかさっきよりも影が近いと感じたのです。

気味が悪くなり、すぐにドアにキーを差し込み車に乗り込みました。ドアを閉めた瞬間、なぜかバックミラーを見る気になれず、そのままエンジンをかけて駐車場を出ました。
国道に出てようやく落ち着いた頃、バックミラーを確認しましたが、当然なにも映っていませんでした。

翌日、同じ職場の先輩に何気なく昨夜の駐車場での出来事を話すと、先輩は少し黙ってから言いました。

「あそこ、前に放置車両があってさ。中に亡くなった人が乗っていたらしい。」

先輩が言うには、数年前、その奥の区画に車を停めていた人が、夜勤明けの体で車に乗り込むと、そのまま突然体調を崩して亡くなってしまったらしいのですが、その発見が随分と遅れてしまったそうなのです。
そんなことがあってなのか、それ以来、駐車場の契約を解約する人が続々と増え、それから奥の区画はほとんど使われなくなったとのことでした。

結局その体験が切欠となり、私もその駐車場を解約しました。

解約手続きのため、駐車場の管理会社に立ち寄った際、担当者に何気なくあの駐車場の奥の区画の話を振ってみました。すると担当者は一瞬だけ言葉に詰まり、「最近は夜間の契約は勧めていない」とだけ答えました。理由を聞いても詳しい説明はなく、ただ「何件か苦情があって」とだけ言われ、話を濁されてしまいました。

さらにその数か月後、あの駐車場の前を通った際のこと。何気なく駐車場に目を向けてみると、あの奥の区画だけがロープで区切られ、利用不可の札が下がっていました。事故や工事の告知は特に見当たりませんでした。
それが私があの夜に見たものと直接関係しているのかは分かりません。ただ、自分以外にも何かを感じた人がいたのだとしたら、あの場所にはまだ説明のつかない何かが残っているのかもしれません。

あれは人だったのか、光の錯覚だったのか。今となっては確かめようもありませんが、今も夜に国道〇号線を通るたび、あの場所を避けるように、無意識に車線変更してしまいます。

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