体験場所:北海道~ニュージーランド
私が物心がついた頃から大学生までの約20年間、定期的に周囲に現れる不思議な女性がいました。
初めて不思議な体験をしたのは幼稚園の頃です。
当時、週末は両親がいつもより遅く起きるのですが、私と姉は朝6時から放送する好きなアニメを見るために早起きするのが習慣でした。
その日は姉と2人で5時半ごろに起きて好きなアニメが始まるのを待っていました。
すると急に、近くにあったラジオの電源が入り、男性DJの声が流れ出しました。
父がタイマーを設定したのだろうと思い電源を消したのですが、消しても消しても自然にラジオが流れ出します。
気味が悪くなりながらも何度も電源ボタンを押していると、突然はっきりとした女性の声で「タカシ…」と呼ぶ声が流れ、そこでラジオの音はピタッと止まりました。
タカシとは私の名前です。
姉もこの時のことは良く覚えているため、絶対に聞き間違いではありません。
他にも小学生の頃、学校の友達3人(仮にA君B君Cちゃんとします)が、私の家に遊びに来た時のことです。
私の家は1階が車庫と倉庫になっており、2階にリビング・ダイニング・和室、3階に家族それぞれの寝室があります。
その日は1階の倉庫を真っ暗にして隠れんぼをして遊んでいました。
A君が倉庫の外で数を数えている間に、私とCちゃんは古いテーブルの下に隠れました。
すると、反対側の方から、
「もうちょっとそっちに行ってよ!」
と、B君が誰かと小声で話しているのが聞こえました。
A君は外で数を数えているし、Cちゃんは私と一緒にいます。
(B君は一体誰と話しているんだろう?もしかしたら他に誰か遊びに来たのかな?)
と思って、隠れんぼを中断して電気を付けると、一人で隠れていたB君が青い顔してこう言いました。
「隣に誰かいたんだ…てっきりCちゃんかと思った。だって、髪が長かったから…」
そう言いながら泣きそうな顔でB君は震えていました。
ある時は、3階の自室から2階に降りた時に、和室に髪の長い女性が立っているのが見えて、姉かと思いそのまま通り過ぎると、台所に母と姉が一緒にいたんです。
驚いて和室を確認しに戻ると誰もいませんし、錯覚して人に見えるような物もそこにはありません。
「和室に誰かいたように見えたんだけど…」
と母と姉に話すと、姉も2階に降りて来た時に同じく人がいるのを見たようで、そのことを母に話している最中だと言っていました。
また中高生の頃は、同じようにふとした時に自宅で女性の影を見たり、3階の自室で夜寝ていると、2階から階段を登ってくる足音が聞こえ、私の部屋の前で立ち止まるようなことが頻繁にありました。
一番ゾッとしたのは、お風呂で髪を洗っている時、頭の上に自分の手ではないもう一本の手が触れた感覚があって、驚いて目を開けると、鏡に写る自分の背後に髪の長い白い服の女性が立っているのを見ました。
一瞬だったので見えたのは女性の腰から下だけで、顔は見ていません。
すぐに目を閉じてシャンプーを洗い流し、意を決してもう一度目を開けると、そこには誰もいませんでした。
大学生になった私はニュージーランドに語学留学をしたことがありました。
そこでも不思議なことは続きました。
友達数名で登山をし、帰りのバスの中でその日に撮った写真を見ていたところ、ある写真を見て友人が悲鳴を上げました。
写真を見てみると、そこに写っている私のお腹の辺りに、どう見てもその日一緒だった友人達とは別の、髪の長い女性が写っているのです。
それはテレビなどで見るような心霊写真そのものでした。
女性の顔は、よく心霊映画に出てくる典型的なお化けのようで、青白く表情のない顔をしていたのを覚えています。
怖がった友人がその場で写真を消してしまったので、写真はもう残っていませんが。
またニュージーランドでは、留学生10名ほどが一緒に暮らす寮のようなところに住んでいたのですが、ある日の朝方、私が寝ていると部屋の前で女性が泣き叫ぶ声がして目が覚めました。
「どうして!私がなんでこんな目に合わないといけないの!」
というような、自分自身の境遇を憂うような女性の叫び声が聞こえます。
寮で暮らす誰かがお酒に酔って叫んでいるのかなと思いましたが、良く考えてみると、その寮に日本人は私1人だけ…他に日本語を話す人はいないんです。
私の部屋の前で泣き叫ぶ日本人女性の声は30分ほど続いた後、急にピタッと止まりました。
1年間の留学を終えて日本に戻ると、パタっと不思議な体験はしなくなりました。
それ以降、33歳になる今まで、一度もこの女性を見たり気配を感じたことはありません。
ニュージーランドがよほど気に入ったのかなと、家族や友達と笑い話にしていますが、20年間ずっと側に感じ続けた存在が急にいなくなって、なんだか寂しいような気もします。
急に現れて驚くことはありましたが、彼女が私や誰かに危害を加えたことは一度もなく、私や家族は本当に幸せに暮らしてきたのですから、彼女はきっと悪霊なんかではなく守護霊のようなものだったのかもしれないと思っています。
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