【怖い話|実話】短編「家の土地」心霊怪談(兵庫県)

投稿者:NOMURA さん(20代/男性/文具メーカー会社員)
体験場所:兵庫県三田市

これは、私がまだ小さい頃に体験した話になります。

とは言っても当時の私はまだ4歳くらいの幼少だったため、私自身の記憶にはなく、実際は私が大きくなってから母親から聞いた話になります。

当時私が暮らしていたのは、兵庫県三田市にある田舎町でした。
本当に田舎で、コンビニまで歩いて1時間はかかるようなところで、デパートなどに行くには車で1時間ほど運転しなければいけません。
両親はそんな田舎生活を楽しんでいたようなのですが、ただ一つだけ、その土地に関して気になる部分があったそうなのです。

当時はバブルの時代だったこともあり、あちこちの土地が開拓され、家が建てられては売られていました。
私の両親が家を購入した土地も、その例にもれず盆地の土地を開拓して作られた場所だったそうなのですが、その盆地にはもともと墓地があり、それを壊して無理やり平地にして家を建て、開拓されたのだと噂されていました。

墓と土地
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とは言え、家を購入する際にハウスメーカーからそんな話を聞いたわけでも無く、あくまでも噂話だったそうなのですが、それでも両親の感覚上どうにも夜になると町の雰囲気が変わり、外には出たくない嫌な感じが漂うらしく、夜の外出は控えていたそうなのです。
ですが、そこだけ気にしなければ雰囲気のとても良い町なので、両親も変に気に留めることなく暮らしていたそうです。

そんな頃、ある異変が起きました。

私は子供の頃かなりやんちゃな性格だったようで、しょっちゅう悪さをしては両親に怒られていました。
怒られた時は、父親の部屋にある押し入れに放り込まれ、反省するまで出さないというお仕置きを受けていたそうです。

押し入れの中はものすごく暗くて、子供の私にとっては非常に怖かったのでしょう。押し入れに入れられては「ごめんなさい」と泣いて反省した様子で出てくるので、両親も「これはいいお仕置き方法だ」と、私が悪さする度に必ず押し入れに入れていたのだそうです。

押し入れ仕置き
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ある日のこと、いたずらして壁に絵を書いてしまった私を母親が叱り、いつも通り私を押し入れに入れたのだそうです。

いつものように泣き叫ぶ私。
ただ、その時は私の怖がり方が普段に増して鬼気迫るものがあったようで、

「だして!!!おねがい!!!はやく!!!」

と、驚く程に泣き喚いていたそうなのです。

その日、押し入れから出てきた私はげっそりとして青白い顔をしていたそうです。

母親は不思議に思ったものの、「毎回入れられているから、押し入れを相当怖がっているのだろう」と納得し、そこまで気に留めることもなかったようです。

あくる日、またしても私がいたずらをしてしまい、母親が押し入れに入れようと私を捕まえた瞬間でした。

「やめて!!!押し入れだけはやめて!!!!」

そう言って拒否する私の反応が異常だったそうで、いつまでも泣き喚いて抵抗したそうなのです。

異常な拒否反応
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あまりに怖がる私の様子を見て、さすがに母親も心配になり、

「どうしたの?」

と、なかなか泣き止まない私が落ち着くのを待って話を聞いてみると、

「押し入れに、人がいる。」

そう私が言ったのだそうです。

それを聞いた瞬間、母親は血の気が引いて、急いで押し入れを開いて中を確認しました。

でも、中を覗いても、どう見ても普通の押し入れで、人がいるような気配は感じません。

「誰がいたの?その人は押し入れにどうやって入ったの?」

などと母親が聞いても、私は何も答えなかったようです。

気味が悪くなった母親が父親に相談すると、父親は父親で妙な事を言い出しました。

「実は、あの押し入れの近くで寝ていると、たまに気味の悪い声が聞こえる時があるんだ。最初ネズミか何かだと思っていたんだけど、どうも違う。小声すぎて言葉は聞き取れないし、気にしないようにして寝ていたんだけど…」

そんなこともあって、両親は急いで心霊関係に強いお寺に連絡を取り、家を見てもらえるように依頼しました。田舎の町にはそういったお寺も多かったそうで、そこまで探すのには苦労しなかったようです。

お寺の住職に見てもらったところ、

「この家からすぐ引っ越した方がよい。ここの土地は呪われている…」

そう言った後、住職は続けて、

「この押し入れには女性の霊がいる。志半ばで首を切り落とされ、その生首だけが今も押し入れに入れられているようだ。ずっと、あなたたちを睨んでいますよ。」

押し入れの生首
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「気味の悪い声を聞いたと言っておれらましたけど、恐らくこの女性の怨念です。首がないので大きな声が出せず小声でしゃべっていますが、”呪ってやる”という言葉をずっと口にしていますよ」

そう言われたのだそうです。

住職から応急処置として簡単なお祓いをしてもらいましたが、あまり効果は期待できないとのことだったようです。

そんなこともあって、両親はすぐに別の家を探して引っ越しました。
以来、押し入れに対する私の過剰な反応もピタリと止んだそうです。

それにしても一体、その女性の生首って何だったのでしょう?
家が建つ前にあったと噂される墓場と、何か関係があるのでしょうか?
それとも更に昔から残る怨念とかなのでしょうか?

切り落とされた首って…現代のこととは思えないですしね…

バブルの時代、無理やり土地を開拓して建てられた家は多いと聞きます。
もしかしたら、それは多くの怒りや恨みの上に建てられているのかもしれません。

あなたが今住んでいるその土地も、以前はどのような場所だったのか、一度調べてみては如何ですか?

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