【怖い話|実話】短編「人形のいる家」心霊怪談(高知県)

投稿者:まやか さん(30代/女性/医療事務)
体験場所:高知県高知市の親戚の家

私がまだ幼かった頃の話です。

当時、私たち家族は祖父の妹である叔祖母と仲がよく、私が小学生の頃からよく母と妹と一緒に高知県高知市にある叔祖母の家に遊びに行っていました。

上品な人柄の叔祖母の家はとても広く、装飾品なども豪華で、いつもとてもキレイにされていました。
私はその家の庭で妹と一緒に遊ぶのがとても大好きで、いつも叔祖母の家にいくのを楽しみにしていました。

でも同時に、正直、この家で一人きりにはなりたくないと思っていました。
なぜなら、叔祖母の家でただ一か所だけ、当時の私がとても不気味に感じていた場所があったからです。

それは、綺麗なお人形がいっぱい飾ってある棚でした。
確か、きれいな顔のフランス人形たちだったと思います。

フランス人形
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昔から人形にはあまり馴染みがなかった私は、その人形たちを「キレイ」と思うどころか、日当たりのせいもあってか、少し陰って薄暗く見えるその人形棚をとても気味悪く思っていたんです。

その後、私も家族も色々と忙しい時期が続き、しばらく叔祖母の家に行けずにいました。

私が中学生の頃でしょうか。
久しぶりに叔祖母の家にお呼ばれされたことがあったんです。

その日は妹が部活か何かで行けなくて、母と私だけで遊びに行きました。

お茶菓子を出してもらい、しばらく3人でおしゃべりていました。

叔祖母の娘さんは東京で一人暮らしをしていているのですが、話の途中、その娘が集めていた漫画を引き取って欲しいと言われたので、私は喜んでその漫画がある棚をせっせと物色し始めました。

私が必死で物色していたからでしょうか、母と叔祖母は、

「ちょっと買い物してくる。」

そう言って、近くのショッピングセンターに出かけていきました。

その日、私は初めて叔祖母の家で一人きりになったのです。

ですが、小学生の頃は絶対にこの家で一人きりになるのは嫌だと思っていましたが、少し大人になったからか、実際そうなってみると全く怖いとは思いませんでした。
漫画に夢中になっていたからかもしれません。

でも、漫画を物色している途中、私は変な物音を聞いたんです。

『カサカサカサ』

向こうで何かが動く物音です。

(こんな綺麗な家にもネズミがいるのかな?)

私はそんな風に思う程度で、しばらくその音を無視していました。

すると今度は、

『カタカタカタ』

明らかにネズミとは違う何かが動く音がしました。
不思議に思った私は、その音が鳴る方へ向かってみたのです。

そこにあったのは、昔あれほど怖がっていたお人形の飾り棚でした。

人形の飾り棚
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人形たちは相変わらず不気味で、少し古くなったせいもあってか、以前より一層おどろおどろしい雰囲気が増したような気がしました。

(やっぱり…ここは、なんか嫌だな…)

そう思って目を下に向けると、私の足元には飾り棚から落ちたのであろうお人形さんが一体転がっていました。

(さっきの音はコレが落ちた音かも…)

そう思って人形を拾い上げた次の瞬間、背筋に戦慄が走りました。

青い目のお人形の首が、

『カタ』『カタ』『カタ』、

と3回動いてこっちを向き、

『ねえ、私のこと好きだった?』

電子音みたいな高い声でそう話しかけてきたんです。

ねえ、私のこと好きだった?
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あまりのことに私は声にならない引き攣った悲鳴をあげました。

そのまま腰を抜かした私は、人形を放り投げ、座り込んだまま後ずさりしました。

すると床に落ちた人形がカサカサと、床を匍匐前進するように私に近付いてこようとしているのが見えました。

匍匐前進で迫る人形
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その瞬間、私の意識は恐怖で停止しました。

どのくらい時間が経ったのか、次に気付いた時はソファーの上でした。

どうやら買い物から帰ってきた母と叔祖母が私を運んでくれたみたいです。
私は漫画を握りしめたまま、床で眠っていたそうです。

直ぐにさっきの体験を母と叔祖母に話したら、

「夢でも見たのよ。」

と言って、母に笑い飛ばされてしまいました。

正直、夢とは思えないくらいリアルな感覚がありましたが、私自身もはなはだ現実だとは思えずにいたのも事実です。

「ああ、夢だったのか…」

私も母の言葉で無理やり自分を納得させ、そう思うことにしたのです。

しかし、帰り際に見た叔祖母の優れない表情に、なんとなく私も不安を覚えたまま、その日は帰路につきました。

それからしばらくして、叔祖母から電話がありました。

「夢で見た人形の特徴を教えて欲しい。」

私はしどろもどろ答えた後、なぜそんな事を聞くのか叔祖母に尋ねました。

すると、どうやら叔祖母が離婚した旦那さんには連れ子がいたそうなのですが、その子が気に入って棚に飾っていた人形と、私が夢に見た人形の特徴が同じらしいのです。

当時、幼かった私は知りませんでしたが、母から後に聞いた話によると、どうやら叔祖母とその連れ子の仲は、あまり良好ではなかったそうなのです。

大叔母と連れ子の娘
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「ねえ、私のこと好きだった?」

あの人形の言葉って、誰に向けられた言葉だったのでしょう…

例え夢だったとしても、私にとってはかなり怖かった体験です。

ですが、私よりも叔祖母の方がよっぽど恐怖したことでしょう。
だって、あの日以来、連れ子が大事にしていたあの人形は、行方不明になったそうです…

叔祖母はそれからすぐに引っ越しました。
よほどあの家に居るのが恐ろしかったのかもしれません。

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