体験場所:愛知県名古屋市
これは私の友人女性のA子から聞いた話です。
当時、愛知県名古屋市に住んでいたA子は、小学生の頃、遊びに行く時はいつも自転車を使っていたそうです。
その日も学校の友達と公園で遊ぶ約束をして、自転車で向かいました。
自転車を押して家から出ると、家の少し先に5歳ぐらいの小さな男の子が1人で座り込んでいました。
A子の家の周辺は少し入り組んだ住宅街です。
(もしかしたら迷子かな?)
そう思ったA子は、自転車を押したまま、
「どうしたの?」
と、男の子に声をかけたそうです。
しかし男の子は「ううん」と首を振って、「待ってるの」とだけ答えたそうです。
(近くの家の子で、お母さんと買い物に行くために待っているのかな?)
そう考えたA子は、
「気を付けてね。」
とだけ男の子に声をかけ、自転車にまたがり公園へ向かいました。
それから五分ほど自転車で走った頃、A子は赤信号に引っかかり青になるのを待っていました。
すると、横断歩道の向こう側に、さっきの男の子がいるのを見つけたそうです。
最初は気が付かず、ぼんやりと周囲の通行人と同じように見ていたのですが、さっき少し話したこともあって男の子の服装や髪型なども覚えていて、ハッと気が付いた時にはちょっと驚いたそうです。
(似てる子もいるんだな~)
そう思ったA子は、信号が変わると同時に走りだし、そのまま男の子の横を通り過ぎて行ったそうです。
それから自転車でしばらく走ると、今度は大きなマンションが見えてきます。
マンションの隣にある自販機には、見たことのないジュースが以前から陳列されており、A子はいつも(アレ、なんていうジュースなんだろう?)と思いながら通り過ぎていました。
その日も(まだあのジュースあるかな?)と、いつも通りちょっと冷やかし半分な気持ちで自販機の横を通り過ぎようとした時でした。
自販機の前に、またあの男の子が立っていました。
男の子は何をする訳でもなく自販機を見つめてます。
さっきの信号で見かけた男の子といい、A子はなんとなく不気味に思い、(ここで止まっちゃいけない!)と、また男の子の前を素通りしたそうです。
自分は自転車で走っているのに、さっきからあの小さな男の子が行く先々に現れる。
信じられない状況にA子は怖くなり、友達が待っている公園に急いで向かいました。
公園に到着して駐輪場に自転車を置いたA子は、友達たちが遊んでいる遊具に向かって急いで走りました。
もう何人か集まっているのが見えます。
早く友達たちの元へ急ごうとしたその時、友達たちが遊んでいる遊具のそばの木の下に、あの男の子が座っている事に気付いたそうです。
男の子はA子の友達たちの方をじっと睨むように見ていて、薄気味悪さしか感じません。
(なんで、ここにもいるの…)
自転車でも15分かかる公園に、5歳程度の男の子が徒歩で先回りするのは不可能です。
小学生なりにその矛盾を気味悪く思ったA子は、そのまま男の子とは視線を合わせないよう、友達に適当に理由をつけて、その遊具から一度離れたそうです。
その後、出来るだけ男の子の姿を視界に入れないように遊んでいると、いつの間にか男の子の姿は無くなっていたそうです。
後日談なのですが、男の子がじっとりとした視線を向けた先で友達たちが遊んでいた遊具なのですが、特別壊れているわけでも劣化しているわけでもなかったのに、何故か突然撤去されてしまったそうです。
結局あの男の子はなんだったのか、分からず終いだとA子は言います。
「私に用があったのか?それとも私の友達に用があったのか?それとも遊具に用があったのか?」
A子は今でもその謎な体験を思い出しては首をひねっているようです。
コメント