【怖い話|実話】短編「展望台の声」心霊怪談(広島県)

【怖い話】心霊実話|短編「展望台の声」広島県の恐怖怪談
投稿者:モッピー さん(20代/女性/主婦)
体験場所:広島県にあるとある展望台

これは、去年まで住んでいた広島県で体験した話です。

その日は休日で天気も良かったので、主人と海までドライブに行こうという事になりました。

広島市内から約1~2時間ほど車を走らせ目的の場所に到着。そこには大きなグランドホテルがあり、その辺りに車を停めたら海はすぐそこです。ですが、もう少し山の中に続く道を行くと展望台があるので、せっかくだからと山の方へと車を走らせました。

山道を進む途中、路駐する何台かの車とすれ違ったので、けっこう人出の多い名所なのだろうとワクワクしました。

駐車場に辿り着くと、狭い駐車場はすでに満車。なるほど路駐が多かったのはこういうことかと、私たちも元来た道を少し引き返し、邪魔にならないように路駐して、そこから展望台まで歩いて向かいました。

15分ほど歩いてようやく展望台に到着。山の中にそびえ立つ展望台は決して大きなものではありませんでしたが、周りは小さな子供を連れた家族など大勢の人で賑わっていました。

展望台の先には更に道が続いていて、道順に沿って階段を降りると目の前に綺麗な海が広がります。そこもカップルやアロハ教室を開いている外国人など多くの人出があって、展望台よりも賑わっています。

そのまま海沿いをしばらく進むと、最初に到着したホテルに出て驚きました。

「初めからこっちに車を停めればよかったね」と、主人と笑いながら展望台の方へ引き返していた時でした。

「〇△×◇△〇△〇×…」

急に右の耳元でなにやらぼそぼそと話す男の低い声が聞こえたんです。

「えっ!?」

突然聞こえた声に驚いて、反射的にそちらを振り向いたのですが、誰もいません。

実は元々霊感体質の私は、これまでも不思議な体験や怖い思いをしたことがありました。今回もそうだとしたら嫌だなと思って、(気のせいだ。周囲に人が大勢いるのだから、きっとそのせいだろう)と、無理に自分に言い聞かせ、そのまま車へ戻りました。

帰りの車内でもずっとさっきの事が気になって、(もしかしたら何か曰く付きの展望台なのでは?)と思って、早速スマホで検索してみたんです。

すると、かなり少ない数ながらも、そこを心霊スポットと噂する情報がチラホラあり、不思議な体験をした人や、影のようなものを見かけたという体験談が記載されていました。更に、かつてその展望台で【自殺した人】がいるという情報もあります。

(嫌だな…)と思いつつ、だからといって結局どうしようもないので、検索したことを少し後悔しながら家へと帰りました。
その晩は少し不安でしたが、私も主人の身にも何も起こらなくてホッとしていたんです。

それから1週間後…

その日の夜、隣で眠っていた主人が金縛りにあったと言って突然飛び起きたんです。
しかも金縛りで体が動かない間、ずっとお腹の辺りに女が乗っていたと言います。

そんな気味の悪い話を聞いて、私はすぐに展望台でのことを思い出したのですが、(あの時聞こえた声は間違いなく男性のもの。主人の言う女の人とは関係ない。きっと主人は疲れていたのだろう)と考えました。

その数日後のことです…

夕方、家でテレビを見ながらくつろいでいると、ベランダの外を黒い影がフッと横切るのが見えました。明らかに鳥よりも大きな影です。

間違いなくなにか『嫌なもの』だと直感しました。

とにかくそれに気付かれてはいけないと、テレビから目を逸らさず夢中になっているふりをして、その場をやり過ごしました。

ですが、その夜でした。
この日、主人は釣りに出かけており、1人で眠っていた私はただならぬ気配に目を覚ましました。

金縛りなのか、身体が全く動きません。
しかも左側からぼそぼそと誰かが呟くような声が聞こえてきます。

恐る恐る横目で声のする方を見ると、ベットの横に、髪の長い女が座っているんです。

女の口元は私の耳にくっ付くくらい迫っていて、その目は私の顔をジッと見下ろしています。

「〇△×◇△〇△〇×…」

ぼそぼそと何か呟くその声は、間違いなく展望台で聞いた声と同じでした。
私が男性だと思っていた声の主は、低い声のこの女だったのです。

主人のお腹の上に乗っていたというのも、きっとこの女なのでしょう。

あの展望台で声に反応してしまった私を、この女はずっとさがしていたんだと思います。

とはいえこちらも何も抵抗しないわけではありません。
昔、母からこのような怖い目に遭った時の対処法を教わりました。それは、「来るな」と自分をガードするイメージで強く念じること。

私は直ぐに目を閉じて「来るな来るな来るな」と何度も心の中で念じ続けました。

それが功を奏したのか、いつの間にか女の声は聞こえなくなっていました。
恐る恐る目を開けてみると、女の姿も消えていて、私は無事に朝を迎えることが出来たのです。

その後、女が姿を現すことはなく、特に変わった事も起きていません。

あくまでこれは私の想像なのですが、彼女から感じたこの世への強い未練。もしかしたら彼女は、あの展望台で無念にも【自殺した人】なのでは、と思うんです…

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