【怖い話|実話】短編「特定まであと少し…」人間が一番怖いと思った話(長野県)

投稿者:ケロリン さん(20代/女性/ライター)
体験場所:長野県M市の自宅

あれは7年ほど前の出来事です。

当時、私は長野県M市の自宅から、インターネットでライブ配信することを趣味としていました。
内容はギターの弾き語りです。

引き語りライブ配信
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毎日こまめに配信していたかいもあって、少しずつですがファンも増えてきました。

その中の1人とは音楽の趣味が合い、配信中もお互いにおすすめの音楽を教え合っていました。
その人のことを仮にAさんとします。

特に親しいファンのAさん
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ある日のこと、配信に来てくれたAさんに、

「この前勧めてくれたバンド、よかったよ」

と、お礼を言いました。

Aさんはそのバンドのライブにも行ったことがあり、限定のCDも持っているとのことだったので、私は何気なく「いいなあ」と言ったんです。

ここからが恐怖の始まりでした。

恐怖の始まり
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私は配信の他にSNSもやっていたのですが、そのSNSにAさんから個別メッセージが届きました。

なんだろうと見てみると、

「この前言ってたバンドのCD、送っておいたから」

とのメッセージが・・・

(送るって…どこに?)

私は配信ではもちろん、SNSでも絶対に住んでいる場所は言っていませんでしたから、Aさんのメッセージの意味が全く分かりませんでした。

再びAさんにメッセージを送り、どういうことなのか聞いて驚きました。
というか、気味が悪いんです。

まず、私のアカウントIDから、私の別のプライベート用SNSアカウントを特定し、そこから私の妹のアカウントに辿り着いたのだそうです。
私の妹はネットに対する意識が甘く、住んでいる市町村まで公開していたんです。

その妹のアカウントから、姉である私の本名や住んでいる市町村、当時付き合っていた彼の名前、さらには両親のSNSアカウントまで特定したと言うのです。

私自身はネット上に個人情報を全く載せていなかったのに…

どうやらその情報を元に、Aさんは郵便局留めで私宛にCDを送ってきたようなのです。

CDを郵便局留め
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私は気味が悪くなり、そのCDを一度は窓口で受け取ったものの、怖くなって直ぐに送り返しました。

「Aさんが調べた情報は間違っていたみたいで、受け取れなかったよ」

と、出来るだけAさんの機嫌を損ねないように、嘘のメッセージを送りました。

それ以来、Aさんの私への好意は悪意に変わった気がします。

好意から悪意へ
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私の個人情報を特定して以降も、それまでAさんは、

「悪用されるかもしれないから気を付けた方がいいよ」

と、あくまで私のことを思って注意を促してくれていました。

しかしCDを送り返して以来、Aさんは明らかに私に対して嫌がらせをするようになったんです。

例えば、私の個人情報が含まれたアカウント名を大量に作って、私のアカウントをフォローしてきたんです。

仮に私の誕生日が1月1日だったら、「〇〇(私の名前)0101」というようなアカウント名を大量に作り、私のアカウントをフォローするんです。
他にも、私の住む町のお店などについて呟いたりなどもしていました。

直接的に危害を加えてくる発言はなかったものの、それ以来私は、監視されているという恐怖に毎日怯えるようになりました。

監視される日々に怯える
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そして遂に、恐れていたことが起きたんです。

ある時、Aさんが自分のアカウントで、

「ゼンリン(地図)と電話帳を全部取り寄せた。あと少し」

と呟いていたんです。

たったそれだけだったのですが、私はすぐにAさんが私の住所を特定しようとしている事に気付きました。

今までは住んでいる市区町村までは特定されていたものの、家までは知られていないはずだったので、少なからず安心していました。

しかし、家の場所まで特定されてしまったら…
私だけじゃなく家族にも危害が及んでしまうかもしれません。

実家は一戸建てだったので、簡単に引っ越すこともできません。
私の家族全員の名前と住んでいる市区町村まで知っているのであれば、すぐにでも家を特定されてしまうと思いました。

それからの私は、Aさんのアカウントを毎日のように確認する日々でした。
住所が特定されないことを祈りながら…

Aさんのアカウントを毎日確認
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ですが、そんな希望も虚しく、Aさんはすぐに私の住所に近づいたんです。

私がプライベート用のSNSに載せていた、祖父母の家の近所の田んぼの写真から、祖父母の家を特定されてしまったんです。本当にほとんど田んぼしか映っていない写真だったにも関わらず…

Googlemapやゼンリンを駆使して地域を特定し、同じ名字の人の家をしらみつぶしに当たっているようでした。

これ以上は耐え切れなくなり、私は警察に相談しました。

警察に相談
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CDが送られてきた時にAさんの住所が記載されていたので、警察から直接注意することもできると言われたのですが、逆上されると怖いのでお断りしました。
代わりに警察の方の指導の下、Aさんに「もうやめて下さい。警察に相談しています」というメッセージを送りました。

するとAさんからこんな返信が届きました。

「なんのこと?」

その後すぐに、私をフォローしていた大量のアカウントが次々と消えていき、いつの間にか住所を特定するような呟きも消えていました。

次々と消えるアカウント
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それ以来、今のところAさんから特に危害を加えられたことはありません。

ですが、あれから数年たった今も、Aさんのアカウントを確認してしまう癖が抜けません。
毎日のように見ていたこともあり、IDもすっかり記憶してしまいました。

そして、私はネットでのライブ配信が出来なくなりました。
怖いんです。

SNSも全て退会しました。
初めてインターネットの恐ろしさを感じました。

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